• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

高齢者疲労感の病態解明を目的とした漢方「補剤」の作用機序研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K06203
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分47050:環境および天然医薬資源学関連
研究機関福岡大学

研究代表者

岩崎 克典  福岡大学, 薬学部, 教授 (10183196)

研究分担者 渡辺 拓也  福岡大学, 薬学部, 助教 (90509647)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワードフレイル / 乳酸 / 人参養栄湯 / 疲労 / 乳酸シャトル / 漢方薬
研究開始時の研究の概要

老化による生理的な機能低下は、ストレス耐性の脆弱化を招き、フレイルへと進展させる。主観的疲労感はフレイルにおける脳機能変化であり、その病態とバイオマーカーは不明であるため、疲労感の程度を客観的に判断して、対処することが困難となっている。研究代表者は、アストロサイトから神経細胞へ乳酸を供給する乳酸シャトルの老化に伴う機能不全が、フレイルでの疲労の病態であると想定している。そこで、体力や気力が低下した状態(虚証)を改善する漢方「補剤」の効果検討も含め、老化促進マウスの乳酸シャトル機能と疲労感様行動を解析することで、フレイル病態の解明とフレイル予防策の確立を行う。

研究実績の概要

高齢者で生じるフレイルでは、漠然とした疲労感が認められる。しかし、その発現機序は不明である。疲労感すなわち中枢性疲労は、神経細胞のエネルギー枯渇状態であると考えられる。エネルギー源であるグルコースが神経細胞内で枯渇した場合は、アストロサイトから乳酸を神経細胞内に受け取り、エネルギーを維持している。老化促進モデルであるSAMP8マウスは加齢に伴い脳乳酸含量の低下が報告されている。そこで、フレイルで認められる疲労感は、アストロサイトからの乳酸供給システム(乳酸シャトル)の機能不全によるものであると仮説し、SAMP8マウス脳における細胞外乳酸濃度(≒乳酸分泌量)をin vivo microdialysis法により測定した。前帯状皮質の乳酸量は、正常老化モデルSAMR1マウスとSAMP8マウスの間で差は認められなかった。そこで、疲労感を誘発するために強制水泳時の乳酸量を測定した。しかし、強制水泳中においても両者間の乳酸量に差は認められなかった。また、ノルアドレナリンならびにセロトニン量も測定したが、同様に差は認められなかった。以上のことから、SAMP8マウスでは乳酸含量の低下が報告されているが、乳酸シャトルを想定した乳酸分泌量に変化が無いことが示唆された。
人参養栄湯は、疲労に対して処方される漢方薬であり、フレイルにおける疲労感改善に効果が期待される。そこで、人参養栄湯が乳酸分泌量に与える効果を健常マウスを用いて検討した。人参養栄湯の摂取は、前帯状皮質の乳酸ならびにノルアドレナリン、セロトニン分泌量には影響しなかった。このことから、人参養栄湯の疲労感改善作用には乳酸シャトル機能が関与しないことが考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の仮説を検証したが、仮説とは異なる結果を得た。しかし、予備検討において、乳酸シャトルではなく、他の因子を考慮した検討を進めているため、おおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

フレイルの疲労感における乳酸シャトル機能不全の関与を当初の仮説としていたが、検討結果から乳酸シャトル機能不全の関与が否定された。意欲や持久力を評価する回転かご走行に着目した予備検討では、人参養栄湯が時間依存的な走行量の増加を引き起こしていることを見出している。今後は、回転かご走行に対する人参養栄湯の効果と時計遺伝子発現への影響を検討する。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 人参養栄湯は運動意欲を向上し、時計遺伝子発現を増強する2024

    • 著者名/発表者名
      富永悠斗、谷口知世、渡辺拓也、波多江旺信、北郷千夏、窪田香織、桂林秀太郎、岩崎克典
    • 学会等名
      日本薬学会第144年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi