研究課題/領域番号 |
23K06206
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47050:環境および天然医薬資源学関連
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研究機関 | 長崎国際大学 |
研究代表者 |
宇都 拓洋 長崎国際大学, 薬学部, 教授 (90469396)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | アトピー性皮膚炎 / 皮膚バリア / 天然物 / 生薬 / フィラグリン / ケラチノサイト / 炎症性サイトカイン / オートファジー |
研究開始時の研究の概要 |
近年、アトピー性皮膚炎(AD)において皮膚バリア機能の低下が重要な要因であることが注目され、皮膚バリア機能の調節機構解明と改善に関する研究が活発に行われている。しかしながら、皮膚バリア機能を改善する天然物の多視点での探索や標的分子解明に関する研究は皆無である。本研究は、生薬エキスライブラリーのスクリーニングにより、フィラグリン増加、オートファジー制御、炎症性サイトカイン抑制を指標として皮膚バリア機能を改善する天然物の探索を行い、ヒト表皮三次元モデルを用いた効果の立証、さらに活性成分の作用機序解明や標的分子の同定を行うことで、ADの治療薬創出および治療標的分子発見に貢献することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、炎症性サイトカイン抑制、フィラグリン増加、オートファジー促進を指標として皮膚バリア機能を改善する天然物の探索を行い、ヒト表皮三次元モデルを用いた確実な効果の立証、さらに活性成分の作用機序解明や標的分子の同定を行うことで、アトピー性皮膚炎の治療薬創出および治療標的分子発見に貢献することを目指すものである。 初年度は、130種の生薬エキスライブラリーから、炎症性サイトカイン抑制、フィラグリン増加、オートファジー促進活性を示すエキスの選抜を実施した。活性確認は、ヒト表皮角化細胞株HaCaTを用いた。炎症性サイトカイン抑制活性があるエキスは、TNF-α/IFN-γ処理により誘導されたIL-6およびIL-8を抑制するエキスをELISA法で探索した。その結果、細胞毒性を示さずIL-6およびIL-8両方を強く抑制する9つのエキスを見出した。同様にTNF-α/IFN-γ処理により抑制されたフィラグリン発現を回復させるエキスを、抗フィラグリン抗体を用いたWestern blottingで探索した。しかしながら、フィラグリンの増減の確認が難しかったため、現在インボルクリンやロリクリンなどの発現も同時に評価するスクリーニングを進めている。オートファジーを制御するエキスの選抜は、LC3-IIとp62の変動を指標としたスクリーニングを実施し、4つのエキスがLC3-IIおよびp62の発現を大きく変動させることを明らかにした。 IL-6およびIL-8を抑制するエキスのうち、特に活性が高かった4エキスを選抜し分離精製を進めている。そのうち1エキスにおいて、すでに活性画分を特定しており、活性成分の単離同定を進めている。オートファジーを制御するエキスは、マオウを先行して分離精製を進め、エフェドリン類が多く含まれるn-ブタノール画分に活性を見出した。現在、同画分のさらなる解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
130種の生薬エキスライブラリーから、炎症性サイトカイン抑制およびオートファジー促進活性を示すエキスの選抜は終了している。現在、特に活性の高いエキスを用いて、活性成分の単離同定を進めている。フィラグリン増加を示すエキスの選抜は、フィラグリンの増減の確認が難しかったため、インボルクリンやロリクリンの発現も同時に評価するスクリーニングを進めている。
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今後の研究の推進方策 |
選抜したエキスから活性成分の単離同定を進める。 より生体に近い評価を行うために、ヒト表皮三次元モデルをサイトカイン混合物(IL-4、IL-13、IL-31)で処理することで アトピー性皮膚炎様モデルを作製し、スクリーニングで選抜したエキスおよび活性成分の皮膚バリア機能改善効果を確認する。 さらに、細胞およびヒト表皮三次元モデルで活性が立証された活性成分の作用機序を解析する。フィラグリン増加を示す活性成分は、フィラグリン前駆体であるプロフィラグリンのタンパク質・RNA発現を確認し、シグナル伝達系を解析する。オートファジー促進活性を示す成分は、阻害剤を用いたフラックスアッセイの結果からオートファジーのどのステップを制御するのかを確認する。炎症性サイトカイン抑制を示す活性成分は、サイトカイン類のRNA発現、さらにMAPKやNF-κBなどのシグナル伝達系を解析する。
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