研究課題
基盤研究(C)
薬剤性腎障害は高頻度におこる重篤な有害事象であり、近年その発症者数は急速に増加している。中でも発症者数の最も多い急性尿細管壊死は、短時間で急激に腎機能が低下し、予後不良であるために臨床現場で問題になっているが、現在のところ効果的な抑制法はない。高齢化の進行やポリファーマシーの増加によって、薬剤性腎障害の発症や重症化のリスクが年々高まっている現状を考慮すれば、急性尿細管壊死に対する有効な予防策の確立は喫緊の課題である。申請者はこれまでに様々なビッグデータ解析を統合した新規手法により、尿細管保護薬として期待できる既存承認薬を見出した。本研究では、臨床検体と大規模診療情報により有効性を検証する。
薬剤性腎障害は高頻度におこる重篤な有害事象であり、近年その発症者数は急速に増加している。中でも発症者数の最も多い急性尿細管壊死は、短時間で急激に腎機能が低下し、予後不良である。臨床現場で問題になっているが、現在のところ効果的な抑制法はない。高齢化の進行やポリファーマシーの増加によって、薬剤性腎障害の発症や重症化のリスクが年々高まっている現状を考慮すれば、急性尿細管壊死に対する有効な予防策の確立は喫緊の課題である。申請者はこれまでに様々なビッグデータ解析を統合した新規手法により、尿細管保護薬として期待できる既存承認薬を見出した。本研究では、その既存承認薬の有効性の検証を行う。まず、尿細管保護に対する候補薬の中でも、最も検討が進んでいるバンコマイシン関連腎障害の候補薬を対象に、以下の検討を進めた。(1) 培養細胞を用いた作用機序の推定ヒト近位尿細管細胞のHK-2細胞を用いて検討している。バンコマイシン関連腎障害の機序として考えられているアポトーシス関連経路における特異的な分子の同定を試みている。(2) 診療情報を用いた至適投与量の探索 これまでに集積した診療情報を用いて検討した結果、候補薬は、臨床上使用されている投与量の中でも比較的低用量で腎障害の抑制し得ることが示唆された。また、同量の投与では、バンコマイシンの治療効果には影響しないことも示唆された。(2)で得られた結果をともに、大規模診療情報解析のデザインを検討し、研究を進めていく予定である。
2: おおむね順調に進展している
作用機序の推定に関しては各種実験条件が整い、また診療情報の進捗に一定の目途が立っている。また、診療情報の予備解析も進み、大規模診療情報のデザインを検討できる基礎的情報が得られている。
大規模診療情報を用いて、候補薬のなかで最も効果を示す薬剤の検討を行うとともに至適投与量の同定を試みる。同時に、様々な原因の尿細管障害に適応できる保護薬の探索も併せて検討する。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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