研究課題/領域番号 |
23K06226
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
岩永 一範 大阪医科薬科大学, 薬学部, 教授 (20257900)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 医薬品適正使用 / ポリフェノール / 緑茶飲料 / 相互作用 / バイオアベイラビリティ― / 茶葉飲料 |
研究開始時の研究の概要 |
医薬品は水での服用が推奨されているが茶葉飲料を用いて服用するケースは多い。医薬品は様々な構造を有しているが、「ピペリジン」と呼ばれる構造を有する医薬品の中には、茶葉中に多く含まれる「カテキン」と結合して水に溶解しなくなり、その結果効果が低下する可能性が有るものがある。一方、「ポリビニルピロリドン」はカテキンと結合することを利用して、食品分野においてお茶の渋み除去に利用されているが、医薬品添加物としても使用されている物質である。そこで医薬品添加物として「ポリビニルピロリドン」を使用することで、茶葉飲料で医薬品を服用した場合においても医薬品の低下を回避することが可能かどうかについて明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年度は、薬物-カテキン相互作用に対するポリビニルピロリドンによる阻害作用に関する検討を開始するに当たり、まずポリビニルピロリドンの平均分子量と阻害作用の強さの関係について明らかにすることを試みた。ドネペジル塩酸塩を緑茶に添加することにより形成させた不溶性物質に、平均分子量が360、10000、40000、1300000のポリビニルピロリドンを加えることによる不溶性物質の再溶解効果を指標に検討した。その結果、いずれの平均分子量を有するポリビニルピロリドンも再溶解効果を示したが明確な分子量依存性は認められなかった。そこで今後の検討には平均分子量を限定することなく、種々の分子量を有するポリビニルピロリドンを使用することとした。また、同検討においてポリビニルピロリドンの濃度依存性についても検討を行ったところ、平均分子量に関わらず濃度依存性は確認することができた。しかしながら、同検討を進めていく過程において、ポロビニルピロリドンは一部ドネペジル塩酸塩の定量性に影響を及ぼすことが明らかとなった。今後、緑茶成分の種々のカテキンを使用して詳細な検討を行う上で、この定量上の問題は必ず解決すべき問題点であると考えられた。そこで当初予定していた定量法から変更すべく、ドネペジル塩酸塩のHPLCによる定量法について再検討を行い、ポリビニルピロリドンによる影響を受けない定量法を確立させた。現在、この定量法を用いて、ドネペジル塩酸塩と緑茶間の相互作用に対するポリビニルピロリドンの阻害作用に及ぼす温度及pHの影響について検討を行っている。この検討が終了次第、他の高分子添加剤の影響について検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では、各ポリビニルピロリドンによる薬物―飲料間の相互作用に対する阻害効果のキャラクタリゼーションを行った後、緑茶に含まれる各カテキン―薬物間相互作用に対する阻害効果について詳細な検討を行う予定であった。しかしながらその概略を把握するために行った薬物―飲料間における相互作用解析時において、主たるモデル薬物であるドネペジル塩酸塩の定量性にポリビニルピロリドンが影響を及ぼすことが明らかとなった。この点については今後各カテキンを使用してより低濃度域での検討を行う際には必ず解決すべき問題であることから最優先でこの問題の解決に当たることとしたため進捗がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
ドネペジル塩酸塩の定量性にポリビニルピロリドンが影響を及ぼしたことから、他の医薬品添加物についても同様に薬物の定量性に影響を及ぼす可能性があると考えられる。本研究では薬物と緑茶中のカテキン類との相互作用(薬物溶解性低下)に及ぼす阻害効果は薬物の溶解性低下の回復(再溶解)として捉え、サンプル中の溶解した薬物濃度で評価を行っている。したがって定量性の低下は評価系の妥当性に大きく影響するとともに、個別に定量法の改善が必要となることが予想される。また、その改善にはある程度の時間がかかると予想されることから、ポリビニルピロリドン以外の添加物に対するスクリーニングを並行して行い、必要に応じて定量法に改善を加えながら進めていくことに計画を変更し、進捗の遅れの改善に努めることとした。
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