研究課題/領域番号 |
23K06227
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 神戸薬科大学 |
研究代表者 |
大河原 賢一 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (30291470)
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研究分担者 |
河野 裕允 神戸薬科大学, 薬学部, 准教授 (60732823)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 薬物放出トリガリング / リポソーム / ニオソーム / 抗がん剤 / 膜融合 |
研究開始時の研究の概要 |
私は抗がん剤をナノ粒子に搭載することにより、副作用の原因となる組織への抗がん剤の移行を抑えつつ、がん組織に選択的に送り込むことによって、効果的かつ安全ながん化学療法の確立を目指している。ナノ粒子に搭載された抗がん剤が抗腫瘍効果を発揮するためには、抗がん剤がナノ粒子中に安定に保持された状態で腫瘍組織内部へ送達され、その後、ナノ粒子から放出を受け、がん細胞へと取り込まれる必要がある。そこで私は本研究において、抗ガンを搭載したナノ粒子からの薬物放出性を、腫瘍局所における別の空のナノ粒子との相互作用によりトリガリングする「腫瘍組織選択的な薬物放出亢進技術」の構築、ならびにその治療への応用を目指す。
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研究実績の概要 |
リポソームは優秀なDDS製剤の一つではあるものの、血中での高い薬物保持能が仇となり、腫瘍組織に移行したリポソームからの薬物放出も充分ではなく、期待されているほどの抗腫瘍効果が得られないケースが散見されている。そこで本研究では、パクリタキセル(PTX)内封PEGリポソームとある種のニオソームとの相互作用に着目し、PEGリポソームからのPTXの放出トリガリングを試みるとともに、両者の相互作用の実体に関して評価を行った。空のニオソームをPTX内封PEGリポソームに添加することでPTX放出率の劇的な向上が見られ、その効果は添加直後の短時間に発揮されることが示された。さらにその効果はSpan80ニオソームよりもSpan85ニオソームで有意に高いことが明らかとなった。更にFRETの結果より、PTXの放出トリガリングの背後に存在するメカニズムとして膜融合が一部関与していることが示唆された。Span80とSpan85の骨格中にはそれぞれ1個、3個の二重結合が存在していることから、これらニオソームの有する高い膜流動性がリポソームとの膜融合を惹起し、内封PTXの放出トリガリングに繋がったものと推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目に予定していた項目が概ねすべて実施出来、順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
本技術の効果を最大限に発揮できる条件(PEGリポソームの脂質組成、表面電荷、ならびにニオソームの投与量(あるいは添加量)の探索を行い、技術の最適化を図る。さらにこれら一連の検討を、通常の粒子径 約 100 nm で調製した PEGリポソームおよびニオソームに加えて、粒子径数十 nm にて調製した両製剤についても行うことで、本研究にて標榜する戦略の成果に及ぼす粒子サイズの影響も併せて評価する。尚、本検討においては、出来るだけ多くの条件における結果を正確かつ定量的に比較するために、まずはシンプルな系である in vitro 実験を中心に実施する。
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