研究課題/領域番号 |
23K06229
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鳴海 克哉 北海道大学, 薬学研究院, 講師 (90746752)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | アルデヒドオキシダーゼ / 一塩基多型 / 有害事象自発報告データベース / 薬物相互作用 / アザチオプリン |
研究開始時の研究の概要 |
アルデヒドオキシダーゼ(AOX)は第Ⅰ相反応を担う薬物代謝酵素であり、種々の医薬品の代謝に関わることが知られている。しかしながら、薬物代謝酵素としてのAOXの臨床的重要性については情報も少ない。本研究では大規模有害事象データベースを用いてAOXが関与する副作用/薬物相互作用リスクを解析し、薬物動態および毒性学的アプローチによりAOX活性の薬物動態学的意義を明確にするとともに、AOX1発現/活性を変化させる新規SNP(s)が基質薬の体内動態および臨床反応性に与える影響を明らかにする。
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研究実績の概要 |
アルデヒドオキシダーゼ(AOX)は種々の医薬品の代謝に関与することが知られている。近年、AOX阻害薬の併用が基質薬の治療反応性や副作用発現を左右することが報告されているものの、薬物代謝酵素としてのAOXの臨床的重要性や薬物相互作用リスクについては不明な点が多い。本研究では大規模有害事象データベースを用いてAOXが関与する副作用/薬物相互作用を解析し、薬物動態および毒性学的アプローチによりAOX活性の薬物動態学的意義を明確にするとともに、AOX発現/活性を変化させる新規一塩基多型(SNP)が基質薬の体内動態および臨床反応性に与える影響を明らかにすることを目的とした。健常人の遺伝子多型データベースgnomADを用いて、AOX1遺伝子の5'上流領域および3'非翻訳領域(3'UTR)に存在するSNPからアレル頻度が1%以上のSNPを抽出し、AOX1遺伝子発現に対する各SNPの影響を評価した。5'上流領域のSNPの中でAOX1遺伝子の転写活性に影響を及ぼすSNPはないことが示唆された。引き続き、3'UTRのSNPについても同様の検討を進める。FDA Adverse Event Reporting System(FAERS)を用いて、AOX基質であるアザチオプリン(AZA)とAOX阻害薬間の薬物間相互作用がAZAの副作用発現頻度に及ぼす影響を調査したところ、臨床濃度でAOX活性を阻害し得る複数の薬剤について、併用によるAZA誘発性副作用、特に血液毒性と肝障害の報告オッズ比の増加が認められた。ラット初代培養肝細胞を用いた検討においてAZAによる細胞生存率の低下がAOX阻害剤との併用により増強することが示されたことから、AOX活性がAZAによる肝毒性の発症に寄与することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度はAOX1遺伝子の発現に影響を及ぼす新規SNPの探索を予定していたが、3'UTRのSNP解析にやや時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、引き続きAOX1遺伝子3'UTRのSNP解析を進めるとともにAOX活性の個体差をもたらす要因を明らかにするため種々検討を行う。また、AOXが関与する副作用/薬物相互作用リスクの解析においては対象とするAOX基質薬を拡大し、大規模有害事象データベース駆動型の研究アプローチの有用性について検討を重ね、最終的にはSNPの影響も含めてヒト臨床における検証を行いたい。
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