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RASのタンパク質恒常性に注目した希少遺伝性難病の病態解明と遺伝子治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K06230
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分47060:医療薬学関連
研究機関東北大学

研究代表者

阿部 太紀  東北大学, 医学系研究科, 助教 (40810594)

研究分担者 新堀 哲也  東北大学, 医学系研究科, 准教授 (40436134)
青木 洋子  東北大学, 医学系研究科, 教授 (80332500)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワードRAS / プロテオスタシス / LZTR1 / MAPKシグナル伝達経路 / RASopathies / MAPK / Noonan症候群 / 難病
研究開始時の研究の概要

Noonan症候群は、様々なRAS/MAPK症候群関連分子に生殖細胞系列(全身性)の変異を有することで発症する根本的な治療法がない希少遺伝性難病である。近年、ユビキチン修飾関連分子であるLZTR1はNoonan症候群の新規原因分子として同定された。申請者らはこれまでに、LZTR1はがん遺伝子産物RASのポリユビキチン修飾とプロテアソームでの分解を促進することなどをin vitroで明らかにしている。Noonan症候群罹患者の多くは、心疾患・低身長・易発がん性を示す。本研究ではLZTR1-RAS分解制御の破綻や亢進による個体レベルでの影響を心臓や成長不全に注目して解析を実施する。

研究実績の概要

Noonan症候群は、様々なRAS/MAPK症候群関連分子に生殖細胞系列(全身性)の変異を有することで発症する根本的な治療法がない希少遺伝性難病である。ユビキチン修飾関連分子であるLZTR1はNoonan症候群の新規原因分子とされている。これまでに本研究代表者は、LZTR1はがん遺伝子産物RASのポリユビキチン修飾とプロテアソームでの分解を促進することを明らかにしたが、LZTR1-RAS分解制御の破綻や亢進による個体レベルでの影響は不明である。LZTR1病的変異は機能喪失型変異であると考えられているが、常染色体顕性遺伝(旧優性遺伝)と常染色体潜性遺伝(旧劣性遺伝)の2つの遺伝形式が報告されており両者の機能的な相違は未だ不明である。今年度は、CRISPR/Cas9ゲノム編集技術により樹立したLZTR1欠損マウスの表現系解析を実施した。その結果、LZTR1ヘテロ欠損マウスは出生可能であったが、Noonan症候群の特徴的な表現系である顔貌異常、心肥大などは認められなかった。他方、LZTR1ホモ欠損マウスは、胎生致死であり成獣マウスでの解析はできなかった。LZTR1ホモ欠損マウスは、胎生13.5日時点では軽度の浮腫と皮下出血が認められたが生存していた。続いて、LZTR1ホモ欠損、ヘテロ欠損、野生型マウスの3種よりマウス胎仔線維芽細胞(MEF)を採取し、RAS subfamilyの発現量とMEK-ERK経路などの下流シグナル伝達経路の活性化レベルをウェスタンブロットにより評価した。その結果、ヘテロ欠損、野生型マウス由来のMEFではRAS subfamilyの発現量やMEK-ERK経路の活性化は認められなかった。一方、ホモ欠損マウス由来のMEFでは複数のRAS subfamilyの発現量が顕著に増加していた。以上の結果より、LZTR1ヘテロ欠損のみではNoonan症候群に類似した表現系を発出するのは困難であり、常染色体顕性遺伝型のLZTR1変異は単純な機能喪失型変異ではない可能性が考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度に予定していたLZTR1欠損マウスの表現系解析を概ね遂行でき、常染色体顕性遺伝型のLZTR1変異は単純な機能喪失型変異ではない可能性が明らかとなった。また、LZTR1欠損マウスの他系統バックグランドへのバッククロスを同時平行で進めることができ、翌年度以降に予定していた準備の一部を前倒しで実施することができた。
以上のことから、本研究は順調に実施できており、進捗状況は良好である。

今後の研究の推進方策

今後は、in vitro解析をマウスモデル解析と平行して実施予定である。具体的には、LZTR1の常染色体顕性遺伝(旧優性遺伝)と常染色体潜性遺伝(旧劣性遺伝)の2つの遺伝型の遺伝子バリアントの中から選抜した代表的な変異体を発現するプラスミドベクターを用いて、LZTR1変異体の細胞での過剰発現はRAS発現量を変化させるのか、下流シグナルであるMAPKの活性化レベルは変化するのか、を明らかにする。また、LZTR1野生型と変異体を共発現させた場合の影響を合わせて評価する予定である。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] LZTR1 deficiency exerts high metastatic potential by enhancing sensitivity to EMT induction and controlling KLHL12-mediated collagen secretion2023

    • 著者名/発表者名
      Abe Taiki、Kanno Shin-ichiro、Niihori Tetsuya、Terao Miho、Takada Shuji、Aoki Yoko
    • 雑誌名

      Cell Death and Disease

      巻: 14 号: 8 ページ: 556-556

    • DOI

      10.1038/s41419-023-06072-9

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] RASプロテオスタシス破綻に伴うが発がん促進機構の解明2024

    • 著者名/発表者名
      阿部太紀、菅野新一郎、新堀哲也、寺尾美穂、高田修治、青木洋子
    • 学会等名
      日本薬学会第144年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] LZTR1欠損はEMT誘導とKLHL12依存的なコラーゲン分泌を制御することで腫瘍増殖と腫瘍転移を促進する2023

    • 著者名/発表者名
      阿部太紀、菅野新一郎、新堀哲也、寺尾美穂、高田修治、青木洋子
    • 学会等名
      第96回日本生化学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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