研究課題/領域番号 |
23K06240
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
野口 幸希 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 助教 (10803661)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 胎盤関門 / 栄養膜細胞 / ステロイド合成 / 遺伝子発現制御 / マイクロRNA |
研究開始時の研究の概要 |
胎盤関門からの適量かつ時宜を得たホルモン分泌は、妊娠の維持や胎児成長において重要な役割を果たす。妊娠高血圧腎症患者では胎盤由来ステロイドホルモンの血漿中濃度が減少することから、本研究では、妊娠高血圧腎症患者胎盤において発現減少が示されるmiR-126に特に着目し、胎盤関門におけるホルモン産生関連分子の発現にmiR-126が与える影響を評価することで、胎盤関門におけるmiR-126がホルモン産生に果たす役割の解明を目指す。そして、miR-126をホルモン治療感受性の妊娠高血圧症候群指標として提案できるかを検討する。
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研究実績の概要 |
ヒト胎盤では、胎盤関門を形成する合胞体栄養膜細胞が、内分泌器官としても機能する。Forskolin添加によるリン酸化シグナル (PKA) の活性化によって合胞体栄養膜細胞様に分化させたJEG-3細胞およびmiR-126を過剰発現させたJEG-3細胞から抽出したメッセンジャーRNAの網羅的解析において、両者で共通して、未処理JEG-3細胞と比較して発現シグナルが変動した遺伝子を抽出し、KEGG pathway解析を行ったところ、HSD17B1、CYP19A1、CGA、CYP2J2、およびHSD11B2の増加によるステロイドホルモン合成系の活性化が示唆された。miR-126導入によるこれらの遺伝子発現変動をリアルタイムPCRで解析したところ、JEG-3細胞にmiR-126を導入することで、HSD17B1、CYP19A1、CGA、およびHSD11B2の発現が有意に増加した。一方、miR-126の標的遺伝子であるLIN28Aの発現は減少した。また、CYP2J2およびHSD3B1の発現にmiR-126が与える影響は示されなかった。CYP19A1およびHSD17B1は胎盤でのエストロゲン合成を媒介する酵素であり、胎児からのエストロゲン前駆体取り込みを担うOAT4の発現量もmiR-126によって増加したことから、合胞体栄養膜細胞において、miR-126は、エストロゲン合成の亢進にはたらく可能性が示された。さらに、HSD11B2は、コルチゾールからコルチゾンへの転換を担うことで、胎児へのコルチゾール移行を妨げることから、miR-126は胎児への過剰なコルチゾール曝露を妨げることで、胎児成長に影響を与える可能性も示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
miR-126が合胞体栄養膜細胞における内分泌機能のうち、予想通りエストロゲン合成系の亢進に関与する可能性を示すことができ、計画に即して、エストロゲン合成に関与する遺伝子の発現上昇を示すことができた。また、遺伝子発現だけでなく、エストロゲン分泌を評価するための準備を進められている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、JEG-3細胞培養上清中のステロイドホルモン濃度をLC-MS/MSおよびELISAを用いて測定することで、miR-126が遺伝子発現だけでなく、実際のエストロゲン分泌に与える影響を評価予定である。また、胎盤ステロイド合成系に関与する遺伝子の発現機構へのmiR-126の関与についても解析を進める。
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