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抗原提示細胞に発現するレクチンによるアトピー性皮膚炎の制御

研究課題

研究課題/領域番号 23K06241
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分47060:医療薬学関連
研究機関順天堂大学

研究代表者

伝田 香里  順天堂大学, 医学部, 特任助教 (00313122)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワードアトピー性皮膚炎 / 炎症 / レクチン / 抗原提示細胞 / 糖鎖生物学 / 皮膚免疫
研究開始時の研究の概要

ヒトおよびマウスにおける研究成果から、皮膚の樹状細胞やマクロファージに発現するマクロファージガラクトース型C型レクチン(MGL)は、アトピー性皮膚炎を悪化させるのか?それとも、抑制するのか?との問いが生じた。本研究では、ヒトMGLのオーソログと推定されるマウスMGL2に着目し、MGL2のアトピー性皮膚炎への関与を、特にTARC/CCL17の発現調節に着目して明らかにしていく。
本研究の独自性は「糖鎖」に着目する点にあり、本研究によりMGLが糖鎖を認識することで炎症応答を制御することが明らかになれば、新しい治療ターゲットとして糖鎖を利用した創薬につながることが期待される。

研究実績の概要

ヒトのアトピー性皮膚炎組織を用いた先行研究により、皮膚の抗原提示細胞に発現するレクチンによる糖鎖認識は、アトピー性皮膚炎を悪化させるのか?それとも抑制するのか?との疑問が生じた。そこで、本研究では、ヒトマクロファージガラクトース型C型レクチンのマウスオーソログと考えられるMGL2に着目して、マウスアトピー性皮膚炎モデルを用い、MGL2がアトピー性皮膚炎の炎症応答に直接的に関与するのか、TARC/CCCL17に着目してメカニズムとともに明らかにすることを目的として研究を開始した。
2023年度は、ダニ抗原クリームの反復塗布によるヒトアトピー性皮膚炎の病理学的所見を再現できるマウスモデルの構築を試みた。マウスの背部および耳介部を毛刈り・除毛した後、1週間に2回の反復塗布を行い、皮膚症状のスコアリングを行った。その結果、6週間の観察期間において、C57BL/6マウスでは、いずれの個体でも大きなスコア上昇は確認できなかった。これに対して、Mgl2ノックアウトマウスでは、塗布3週後にスコアの上昇が認められる個体が観察された。また、スコアの上昇した個体では、塗布3週後の血清total IgE値の上昇も認められた。TARC/CCL17については、予備的検討の結果、塗布3週後よりも、6週後のほうが値が高いことが予想されたため、塗布6週後の血清TARC/CCL17値を測定したところ、ナイーブマウスに比べて上昇していたものの、高いレベルではなくスコアリングとの相関も認められなかった。
以上より、Mgl2ノックアウトマウスを用いることでダニ抗原クリームを用いたマウスアトピー性皮膚炎様モデルが作製できた。今後例数を増やす必要があるが、MGL2がアトピー性皮膚炎の炎症に抑制的に働く可能性が示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度の計画では、ダニ抗原クリームを用いたマウスアトピー性皮膚炎モデルにより野生型マウスに発症した皮膚炎組織を用いてMGL2発現細胞の挙動を組織学的に解析する予定であったが、野生型マウスではスコアの上昇が思ったほど認められなかった。このため、当初2024年度に計画していたMgl2ノックアウトマウスを用いた解析を前倒しして実施し、MGL2がアトピー性皮膚炎モデルの皮膚の炎症を抑制する可能性を明らかにした。このため、研究全体としては進展しているが、2023年度中に野生型マウスを用いて実施する予定であった組織学的な解析が十分に実施できておらず、全体としては、おおむね順調に進展していると評価した。

今後の研究の推進方策

アトピー性皮膚炎を発症したマウスの皮膚の組織学的な解析を2023年度後半から開始しており、組織切片では野生型マウスにおいても表皮の肥厚が観察されたことから、野生型マウスにおいても症状は弱いがアトピー性皮膚炎の発症を確認できている。そこで、2024年度には野生型およびMgl2ノックアウトマウスの炎症皮膚を用いて、MGL2陽性細胞が炎症に伴ってどのような挙動をするのかなどを明らかにしていく予定である。また、すでにMGL2が炎症応答に関与する可能性が示されたため、MGL2が認識する抗原の存在が予想されるため、抗原あるいは炎症組織中において、MGL2のリガンドが存在するか明らかにすることで、メカニズムの解析も進めていく予定である。一方で、本モデルが、ヒトで観察されたTARC/CCL17とMGL2との関連の解析には適当でない可能性が示されたため、他のアトピー性皮膚炎モデルの構築も検討したい。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Glycosylation profiles of breast cancer cells may represent clonal variations of multiple organ metastases2024

    • 著者名/発表者名
      Horimoto Yoshiya、Hlaing May Thinzar、Saeki Harumi、Denda-Nagai Kaori、Ishii-Schrade Katrin、Fujihira Haruhiko、Abe Masaaki、Noji Miki、Shichino Shigeyuki、Saito Mitsue、Irimura Tatsuro
    • 雑誌名

      Clinical & Experimental Metastasis

      巻: 41 号: 3 ページ: 267-270

    • DOI

      10.1007/s10585-023-10253-3

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Possible Involvement of Antigen-Presenting Cells Expressing the Macrophage Galactose-Type C-Type Lectin in Inflammatory Skin Diseases2023

    • 著者名/発表者名
      Manome-Zenke Yukari、Denda-Nagai Kaori、Murakami Ryuichi、Noji Miki、Tsuneda Naoto、Ishii-Schrade Katrin Beate、Kanomata Naoki、Arai Satoru、Irimura Tatsuro、Ikeda Shigaku
    • 雑誌名

      Journal of Investigative Dermatology

      巻: 143 号: 9 ページ: 1834-1838.e10

    • DOI

      10.1016/j.jid.2023.03.1654

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] A CRISPR activation screen identifies MUC-21 as critical for resistance to NK and T cell-mediated cytotoxicity2023

    • 著者名/発表者名
      Lee Dong-hee、Ahn Hyejin、Sim Hye-In、Choi Eunji、Choi Seunghyun、Jo Yunju、Yun Bohwan、Song Hyun Kyu、Oh Soo Jin、Denda-Nagai Kaori、Park Chan-Sik、Irimura Tatsuro、Park Yoon、Jin Hyung-seung
    • 雑誌名

      Journal of Experimental & Clinical Cancer Research

      巻: 42 号: 1 ページ: 272-272

    • DOI

      10.1186/s13046-023-02840-9

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 抗原提示細胞に発現するマクロファージガラクトース型C型レクチンの炎症性皮膚疾患における役割2023

    • 著者名/発表者名
      伝田香里
    • 学会等名
      第46回分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] The rol of MGL/CD301+ cells in inflammatory skin diseases2023

    • 著者名/発表者名
      Denda-Nagai K, Manome-Zenke Y, Murakami R, Noji M, Tsuneda N, Ishii-Schrade KB, Kanomata N, Arai S, Ikeda S, Irimura T
    • 学会等名
      JSICR/MMCB 2023 Joint Symposium
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Possible involvement of innate immune cells expressing the macrophage galactose-type C-type lectin in infla,,atory skin diseases2023

    • 著者名/発表者名
      Manome-Zenke Y, Denda-Nagai K, Murakami R, Noji M, Tsuneda N, Ishii-Schrade KB, Kanomata N, Arai S, Irimura T, Ikeda S
    • 学会等名
      ISID2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] アトピー性皮膚炎におけるマクロファージガラクトース型C型レクチン陽性自然免疫細胞の関与2023

    • 著者名/発表者名
      善家由香理、伝田香里、村上龍一、野地美樹、恒田直人、Katrin Ishii-Schrade、鹿股直樹、新井達、入村達郎、池田志斈
    • 学会等名
      第122回日本皮膚科学会総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 乾癬においてマクロファージガラクトース型C型レクチンを発現する抗原提示細胞が関与する可能性2023

    • 著者名/発表者名
      善家由香理、伝田香里、村上龍一、野地美樹、恒田直人、Katrin Ishii-Schrade、鹿股直樹、新井達、入村達郎、池田志斈
    • 学会等名
      第38回日本乾癬学会学術大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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