研究課題/領域番号 |
23K06268
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
|
研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
加藤 美紀 名城大学, 薬学部, 准教授 (70345594)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | GSK-3 / UGT1A / がん細胞 / 誘導 / 異物解毒酵素 / GSK3 / 発現調節 / がん |
研究開始時の研究の概要 |
Glycogen synthase kinase 3beta(GSK3beta)は様々なシグナル伝達経路や転写因子の活性化・不活性化を調節することで細胞活動を制御するため、がんを含む多くの疾患の創薬ターゲットとして研究されている。生理活性物質の活性や薬物の治療効果を決定づける一因は異物解毒酵素である。しかし、異物解毒酵素であるUDP-グルクロン酸転移酵素(UGT)のGSK3betaによる制御機構については未解明である。本研究では、GSK3betaによるUGTの発現制御と、その発現変動が抗悪性腫瘍薬やがん形成に関連する生理活性物質の細胞内存在量に及ぼす影響を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
本年度は、まずはUGT1Aが発現しているヒト肝がん由来Huh-7細胞を用いて、GSK-3阻害薬であるCHIR99021、SB216763およびTWS119を48時間曝露し、UGT1A1、UGT1A4、UGT1A6、UGT1A9 mRNA発現量について、リアルタイムPCRを用いて測定した。GSK-3阻害によりWnt/β-cateninシグナル経路が活性化されるが、Wntシグナル標的分子の一つであるleucin-rich repeat-containing G-protein-coupled receptor 5の発現量は、本検討で用いた全てのGSK-3阻害薬の曝露により増加した。従って、本実験条件でGSK-3が阻害されていることを確認した。UGT1A1、UGT1A4、UGT1A6、UGT1A9 mRNA発現量は、全てのGSK-3阻害薬により増加した。UGT1A1、UGT1A4、UGT1A6は、CHIR99021による発現変動が最も大きく、それぞれ101、7.5、10倍であった。また、UGT1A9はTWS119による変動が最も大きく、21倍であった。さらに、siRNAによりGSK-3βをノックダウンし、これら4種のUGT1A mRNA発現量の変動を同様に測定したところ、全ての分子種で増加した。以上より、GSK-3はUGT1Aの発現制御に関わっていることが示唆された。また、UGT1Aの発現調節に関わるaryl hydrocarbon receptor(AhR)やNF-E2-related factor 2(Nrf2)、pregnane X receptor(PXR)のmRNAについても、GSK-3阻害薬曝露による影響を検討した。AhRはSB216763以外のGSK-3阻害薬により誘導されたが、最大で1.7倍であった。Nrf2については、CHIR99021により1.3倍に増加し、TWS119では0.84倍に減少したが、変動は大きくなかった。PXRについては、すべてのGSK-3阻害薬で誘導され、最大で3.0倍であった。GSK-3βはAhRのリン酸化に関わるとの報告や、GSK-3の阻害によりNrf2タンパク質の安定性が増すとの報告がなされている。従って、次年度以降、GSK-3阻害薬曝露によるこれら核内受容体のタンパク質発現変動ならびに核内移行性についても検討する必要があると考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特に大きな問題はなく、進行している。
|
今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、Wnt/β-catenin経路を介したUGT1Asの発現調節について明らかにし、また、GSK-3による核内受容体の発現調節を介したUGT1Asの発現調節について検討する予定である。また、これらの発現変動が、実際にUGT1Asの機能に及ぼす影響を明らかにするために、UGT1Aの基質の解毒速度の測定方法について検討を進める予定である。
|