研究課題/領域番号 |
23K06275
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
菅 幸生 金沢大学, 薬学系, 教授 (00467101)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | DIC / 線溶活性化 / 線溶抑制 / 臓器障害 / PAI / 出血症状 |
研究開始時の研究の概要 |
心筋梗塞、脳梗塞などの血栓症(心疾患)は、本邦における死因の第二位である。血栓症の治療は、ワルファリンやヘパリンなどの凝固活性化の制御をターゲットとした薬剤が中心であるが、その治療成績は十分なものではない。血栓症の治療成績を向上させるためには、新規アプローチによる治療戦略を構築する必要がある。本研究では、生体内で生成した血栓を溶解するための重要な生体内防御機構である「線溶」に着目した。病態の異なる二種類のラット播種性血管内凝固症候群(DIC)モデルを用いた検討により、全身臓器で微小血栓が多発するDIC病態において、多発血栓形成プロセスの鍵となる線溶機序の寄与・役割を明らかとする。
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研究実績の概要 |
2023年度は、敗血症に合併した線溶抑制型DICを模したLPS-DICモデルに対するプラスミノゲンアクチベータインヒビター(PAI)阻害薬であるtiplaxtinin(PAI-039) の有効性評価に取り組んだ。PAI-039は、PAIと結合することで、その抗線溶活性を抑制(=線溶活性化の亢進)する薬剤である。LPSーDICモデルでは、PAIが高値になるため、PAIによる線溶活性化の抑制をPAI-039により解除することで、DIC病態が改善することが見込まれる。 PAI-039の投与により、PAI活性の有意な抑制が確認された。一方で、血小板数、フィブリノゲン濃度、トロンビンーアンチトロンビン複合体(TAT)などの凝血学的マーカーやAST(肝障害)、血清クレアチニン(腎障害)に改善はみられなかった。加えて、腎糸球体にけるフィブリン沈着の改善もみられなかった。これらの結果より、PAI阻害薬は、PAI活性は抑制するものの、重症のDICモデルにおける病勢をコントロールには、不適であることが示された。今回は、PAIー039を経口投与したため、効果持続時間は短かったことや消化管からの吸収量が予測よりも低かったことなどが推察される。そのため、PAIー039による抗DIC効果を得るためには、投与経路を経静脈投与に変更したうえで、効果持続時間が長くなるように、時速注入による投与が必要となることが考えられた。 今後は、組織型プラスミノゲンアクチベータ(tPA)を用いた検討(線溶機序の直接的な活性化)を行い、DIC病態の進行を抑えるための最適な線溶活性化のコントロール方法を検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度には、LPS-DICモデルに対するPAI阻害薬の有効性評価が完了した。これは研究開始時に計画したスケジュールどおりであり、研究は予定通りに進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度中に、LPSーDICモデルに対する検証を終了し、線溶亢進型DICを模したTissue FactorーDICモデルに対する検証を開始する。
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