研究課題/領域番号 |
23K06291
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
|
研究機関 | 金城学院大学 |
研究代表者 |
水谷 秀樹 金城学院大学, 薬学部, 教授 (80397504)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
|
キーワード | PARP阻害薬 / アントラサイクリン / 抗がん薬 / 活性酸素 |
研究開始時の研究の概要 |
PARP (poly ADP ribose polymerase) は細胞内に存在する酵素であり、損傷したDNA鎖を修復する。このPARPを分子標的とし、阻害するPARP阻害薬は、従来の抗がん薬と比べ正常細胞に対する毒性は低い。通常、PARP阻害薬は特定のDNA修復異常を示すがんに有効であり、その一方で作用増強を目的としてPARP阻害薬と従来の殺細胞性抗がん薬との併用が考えられているが、その詳細は不明である。 本研究では、PARP阻害薬と殺細胞性抗がん薬であるアントラサイクリン系抗がん薬との併用時の作用機構を解明し、これらを用いた新しいがん化学併用療法の開発に向けた基盤となる情報を構築する。
|
研究実績の概要 |
PARP (poly ADP ribose polymerase) は細胞内に存在する酵素であり、損傷したDNA鎖を修復する。このPARPを分子標的とし阻害するPARP阻害薬(PARPi)の有用性が、がん治療において確認されている。PARPiは特定のDNA修復異常を示すがんに有効であり、その一方で作用増強を目的としてPARPiと従来の殺細胞性抗がん薬との併用が考えられている。本研究ではアントラサイクリン系抗がん薬とPARP阻害薬との併用時の作用機構を解明することを目的とし、本年はMitoxantrone (MIT)を検討した。 まず、MITの細胞死における活性酸素種 (ROS) の関与について検討した。細胞毒性は、4h, 6h, 24hで見られ、4hでHL-60 > HP100であったが、顕著な差は見られなかった。DNAラダーの形成、ミトコンドリア膜電位の変化も同様であり、一方、細胞内ROS生成の上昇は認められなかった。したがって、MITの作用機序として、一部ではROSの寄与が示唆されたが、その影響は小さく、DNA鎖との架橋形成あるいはトポイソメラーゼII阻害の寄与が大きいと考えられた。 次に、PARPiとしてOlaparib (OLA) とVeliparib (VEL)を用い、MITとPARPiの併用を検討した。細胞生存率はトリパンブルーを用い、Countess Automated Cell Counter (Invitrogen) で測定した。細胞死のマーカーとして、蛍光顕微鏡(EVOS FLoid Imaging System, Invitrogen)でのヘキスト33342によるクロマチン凝縮、DiOC6(3)によるミトコンドリア膜電位、H2DCFDAによる細胞内ROSを測定した。MITは、HL-60細胞に対し細胞生存率を低下させ、この低下はOLAとVELにより抑制された。MITによるクロマチン凝縮はOLAとVELの影響を受けなかった。MITによるミトコンドリア膜電位の低下はOLAとVELにより抑制された。さらにMITによる細胞内ROS上昇はVELにより抑制されたが、OLAの影響を受けなかった。今後、さらに併用効果の詳細について検討したい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、Mitoxantrone (MIT)とPARP阻害薬の併用について検討した。一部不足な点もあるが、おおむね順調に進展していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
来年度(2024年度)は、引き続きMitoxantrone (MIT)とPARP阻害薬の併用について検討を行うが、他のアントラサイクリン系抗がん薬とPARP阻害薬との併用も検討したい。
|