研究課題/領域番号 |
23K06294
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 神戸薬科大学 |
研究代表者 |
河内 正二 神戸薬科大学, 薬学部, 准教授 (30549308)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 非アルコール性脂肪肝炎(NASH) / 腸肝連関 / 医薬品有害事象データベース / ドラッグリポジショニング |
研究開始時の研究の概要 |
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は、肝硬変や肝細胞癌へと進行し、生命予後に影響しうる疾患である。NASHは生活習慣病や薬剤が原因となる。これまでに、モデル動物を用いた検討において、生活習慣と薬剤性のNASHは小腸粘膜恒常性の破綻によって発症、進展する可能性を見出した。さらに、既存の消化性潰瘍治療剤の有効成分であるアルギン酸NaがNASHを改善する可能性を明らかにした。このことは、既存薬を他の疾患治療に活用できる可能性を示している。 本研究は、大規模データベースと基礎研究を組み合わせたドラッグリポジショニングによって、小腸粘膜恒常性を治療標的としたNASHの治療薬創出を目指すものである。
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研究実績の概要 |
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)には、生活習慣病を基盤に発症するものと、薬剤が原因となるものがある。生活習慣病を基盤に発症するNASHでは、腸内細菌叢の変化や腸管由来成分が関わる腸肝連関の病態進展への関与が報告されているが、薬剤性NASHの病態進展機序は不明である。そのためNASHに有効な治療薬は少ないのが現状である。 本研究の目的は、NASHにおいて小腸粘膜恒常性が破綻する機序を明らかにし、小腸粘膜恒常性の維持という新たな治療標的に対して医薬品有害事象データベース解析を用いたドラッグリポジショニング(DR)により、NASHに効果を有する既存薬を見出すことである。 今年度は、NASHを誘発するアミオダロン(AMD)を用いてNASHモデルマウスを作成し、腸内細菌叢を解析した。AMD群では、Firmicutes門が増加し、Bacteroidetes門が有意に減少しており、生活習慣を基盤としたNASHと同じような腸内細菌叢の組成変化が生じている可能性が示唆された。 医薬品有害事象データベースにおける不均衡分析の解析手法(Reporting Odds Ratio; ROR)は、有害事象シグナルを検出する手法である。この手法で得られた逆のシグナルは、その医薬品と有害事象との関連が低いと考えられ、既存医薬品の新たな薬効のシグナル(DRシグナル)の指標として利用した。医薬品有害事象データベース(PMDA(JADER)2004-2023年、823,662件、米国FDA(FAERS)1997-2023年、17,624,844件)を使用して、NASHのシグナルが検出された特定の薬剤服用症例において、その併用薬剤のPORを算出することでNASHの発症リスクを低下させうる薬剤を探索した。その結果、NASHの発症を低下させる可能性のある医薬品26品目が見つかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していたアミオダロン誘発NASHモデルマウスでの腸内細菌叢の変化を明らかにし、小腸粘膜恒常性が破綻する機序の一端を明らかにした(研究目標①)。NASHの発症リスクを低下させうる薬剤(NASHに対する治療薬の候補医薬品)の探索に関しても一部検討を終了した(研究目標②)。
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今後の研究の推進方策 |
NASHに対する治療薬の候補となる可能性が示唆された医薬品について、文献情報、薬価、安全性の観点から基礎研究での有効性評価を行う優先順位を検討する。その後、培養細胞を用いたIn vitro評価系を構築する。具体的には、HepG2細胞(ヒト肝癌由来細胞株)を用いた細胞内脂肪蓄積を評価する。
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