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臍帯由来Muse細胞の全能性獲得への挑戦

研究課題

研究課題/領域番号 23K06296
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分48010:解剖学関連
研究機関東北大学

研究代表者

串田 良祐  東北大学, 医学系研究科, 助教 (10707003)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
キーワードMuse細胞 / 臍帯
研究開始時の研究の概要

Muse細胞は生体内に存在する非腫瘍性の多能性幹細胞である。Muse細胞は点滴投与するだけで、傷害組織へ遊走し、貪食能を持つMuse細胞が傷害部位で死細胞を貪食することで傷害細胞中の転写因子等を利用して被貪食細胞種へ分化することで組織修復を行う。臍帯由来Muse細胞は三胚葉性に加え、成体組織由来Muse細胞では見られない胚体外組織や生殖細胞系列への分化能を有する。体性幹細胞の中で全能性を有する細胞は未発見であり、体性幹細胞であるMuse細胞の全能性を証明することでその概念の一新に挑むとともに、周産期領域や生殖医療への応用などへの臍帯由来Muse細胞の利用可能性を広げることを目的とする。

研究実績の概要

Multilineage-differentiating Stress Enduring cell (Muse細胞)は生体組織に存在する腫瘍性を持たない多能性幹細胞である。一般的に多能性幹細胞はナイーブ型とプライム型に分類することができ、成体組織由来Muse細胞はプライム型の多能性幹細胞であると想定されているが、胎児付属物である臍帯は幼弱な組織であるため、臍帯由来Muse細胞は成体組織由来Muse細胞と比べ、より未分化なナイーブ型の幹細胞に近い状態であるとされている。本研究では体性幹細胞であるMuse細胞から全能性に近い細胞を樹立することを目的としている。本年度は以下2項目を行った。
(1) ヒト臍帯由来Muse細胞の多能性亢進に関わる因子の同定
RNA sequencing(RNA-seq)によるヒト臍帯由来Muse細胞の発現分子やシグナル伝達経路の状態に基づき、DNAメチル化酵素阻害薬やヒストン脱アセチル化酵素阻害薬などを含めた低分子化合物や様々なサイトカインをヒト臍帯由来Muse細胞に対して処理し、遺伝子発現解析を行った。その結果、いくつかの組み合わせの条件にて多能性因子の発現上昇が認められた。
(2) ヒト臍帯由来Muse細胞の多能性亢進に関わる細胞外基質の同定
これまでにRNA-seqを用いた網羅的な遺伝子発現解析にてヒト臍帯由来Muse細胞に発現している細胞接着分子が同定できていることから、それらの分子に合わせた細胞外基質上で培養し、網羅的な遺伝子発現解析を行った。現在、得られたデータを解析している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の進捗状況は、
(1) ヒト臍帯由来Muse細胞の多能性亢進に関わる因子の同定
RNA sequencing(RNA-seq)によるヒト臍帯由来Muse細胞の発現分子やシグナル伝達経路の状態に基づき、DNAメチル化酵素阻害薬やヒストン脱アセチル化酵素阻害薬などを含めた低分子化合物や様々なサイトカインをヒト臍帯由来Muse細胞に対して処理し、遺伝子発現解析を行った。その結果、いくつかの組み合わせの条件にて多能性因子の発現上昇が認められた。
(2) ヒト臍帯由来Muse細胞の多能性亢進に関わる細胞外基質の同定
これまでヒト臍帯由来Muse細胞は細胞外マトリックスなどを使用せず、間葉系幹細胞と同様の培地で培養している。しかしながら、ヒト臍帯由来Muse細胞の細胞表面には成体組織由来Muse細胞では発現していないデスモソーム関連分子が発現することや他の器官・組織とは異なり、ヒアルロン酸を高濃度で含有するなど特殊な細胞外基質で構成される臍帯組織中でヒト臍帯由来Muse細胞は存在することから、適正な細胞外基質を用いることでより多能性を亢進させることができると考えられる。これまでRNA-seqを用いた網羅的な遺伝子発現解析にてヒト臍帯由来Muse細胞に発現している細胞接着分子が同定できていることから、それらの分子に合わせた細胞外基質上で培養し、網羅的な遺伝子発現解析を行った。現在、遺伝子発現解析のデータを解析し、細胞外基質の選定を行っている。

今後の研究の推進方策

(1) 臍帯由来Muse細胞の多能性亢進に関わる細胞外基質の同定
ヒト臍帯由来Muse細胞を特定の細胞外基質上で培養し、網羅的な遺伝子発現解析を行って得られたデータを引き続き解析する。
(2) ヒト臍帯由来Muse細胞由来の全能性細胞の特性解析
多能性を亢進させた低分子化合物やサイトカインおよび細胞外基質の組み合わせた条件でヒト臍帯由来Muse細胞を培養し、特に顕著な結果を示した条件で、single cell RNA-seqを用いた遺伝子発現解析、whole genome bisulfite sequencingによる網羅的なDNAメチル化の解析、CUT&RUNによるヒストン修飾の解析、細胞外フラックスアナライザーを用いた代謝状態の解析、FISHによるX染色体の活性化の評価などを行い、ヒト初期胚との比較を通じてその特性解析を行う。
(3) 機能的な栄養膜細胞と生殖細胞系列への分化誘導
これまで報告されている多能性幹細胞から栄養膜細胞及び生殖細胞系列への分化誘導を参考に多能性を亢進させたヒト臍帯由来Muse細胞で生殖細胞系列への分化誘導を行う。分化誘導後、栄養膜細胞及び生殖細胞系列マーカーの発現を網羅的な遺伝子発現解析や免疫染色、目的の細胞種特有の機能について評価する。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Intravenously engrafted human multilineage‐differentiating stress‐enduring (Muse) cells rescue erectile function after rat cavernous nerve injury2023

    • 著者名/発表者名
      Koyama Juntaro、Yamashita Shinichi、Kato Yuya、Nezu Kunihisa、Goto Takuro、Fujii Shinji、Suzuki Yu、Nakayashiki Atsushi、Kawasaki Yoshihide、Kawamorita Naoki、Okita Hitomi、Ito Takako、Kushida Yoshihiro、Goto Masafumi、Dezawa Mari、Tominaga Teiji、Niizuma Kuniyasu、Ito Akihiro
    • 雑誌名

      BJU International

      巻: 133 号: 3 ページ: 332-340

    • DOI

      10.1111/bju.16232

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ヒト臍帯由来Muse細胞とヒト初期胚との比較2024

    • 著者名/発表者名
      串田良祐、小熊陽、阿部香奈、出口敦智、 Federico Girolamo Barbera、西村範行、出澤真理
    • 学会等名
      第23回日本再生医療学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 生体内修復幹細胞としてのMuse細胞の可能性2023

    • 著者名/発表者名
      串田良祐
    • 学会等名
      第39回日本臨床皮膚科医会総会・臨床学術大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] ヒト臍帯組織由来Muse細胞の胚体外組織・生殖細胞系列への分化の可能性2023

    • 著者名/発表者名
      串田良祐, 小熊陽, 阿部香奈, 西村範行, 出澤真理
    • 学会等名
      日本顕微鏡学会 第79回学術講演会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Donor-Muse cell therapy for brain and spinal cord: free from surgical treatment, gene introduction, differentiation induction, HLA-matching and immunosuppressant.2023

    • 著者名/発表者名
      Mari Dezawa, Shohei Wakao, Yoshihiro Kushida, Kuniyasu Niizuma
    • 学会等名
      Gordon Research Conferences
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 産科学・生殖医学への応用に向けた Muse細胞から栄養膜細胞と始原生殖細胞への分化2023

    • 著者名/発表者名
      阿部 香奈, 串田 良祐, 若尾 昌平, 黒田 康勝, 松居 靖久, 出澤 真理
    • 学会等名
      第56回日本発生生物学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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