研究課題/領域番号 |
23K06300
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
備前 典久 新潟大学, 医歯学系, 医学部准教授 (40751053)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | オリゴデンドロサイト / ミエリン / Ddx20 / p53 / ニューロン / グリア-ニューロン相互作用 / 相互作用 / RNA / 恒常性 |
研究開始時の研究の概要 |
オリゴデンドロサイト(OL)は軸索にミエリンを形成することでニューロンの発達や生存に寄与するが、近年様々な神経疾患におけるOLの性質変化および機能異常の関与が示唆されている。我々が作製したRNAヘリカーゼDdx20の成熟OLにおける欠損マウス脳では、明確なミエリン構造の破綻を伴わずに、ニューロン内のp53経路が活性化し、神経脱落、軸索変性、老化の亢進などニューロンの発達および恒常性が破綻する現象を見出した。そこで本研究では、Ddx20欠損OLによるニューロンの恒常性破綻機構の解明を目指す。本研究により、様々な神経疾患におけるOL異常を起因とする病態の解明が進展することが期待される。
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研究実績の概要 |
本研究はRNAヘリカーゼDdx20がオリゴデンドロサイト(OL)-ニューロン間の相互作用に果たす役割を解明することを目的としている。本年度は、これまでOLにおけるDdx20欠損マウス(Mbp-Cre; Ddx20cKOマウス)で認められたニューロン内のp53経路活性化およびニューロン変性の原因を探索した。Mbp-Cre; Ddx20cKOマウスの脳梁から抽出したRNAを用いてRNA-seqを行い、スプライシング変動遺伝子を網羅的に解析したところ、OL関連遺伝子に加え、グルコース代謝や脂肪酸代謝に関連する遺伝子が多く検出された。この結果はOL内で広範な代謝異常が生じていることを示唆しており、OLによる神経軸索のエネルギー産生機構が破綻している可能性がある。また、本年度は新たにDdx20結合因子を同定した。この因子はOLおよびミエリン関連タンパクの翻訳後修飾を担っており、その機能不全はOLやミエリンの性質変化を引き起こす。興味深いことに、この分子の機能低下による翻訳後修飾の異常を是正する薬剤をMbp-Cre; Ddx20cKOマウスに投与すると、ニューロンにおけるp53活性化や軸索変性の改善が認められた。このことから、新たに同定した新規Ddx20結合因子がOL-ニューロン間相互作用における鍵分子である可能性が強く示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
OLにおけるDdx20欠損が引き起こすニューロンのp53経路活性およびニューロン変性の鍵分子となりうるDdx20結合因子を同定することができ、本研究で目標としているDdx20によるOL-ニューロン間相互作用の制御とその破綻機構の解明のための道筋をつけることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は新たに同定したDdx20結合因子の機能解析をさらに進めていく。さらに、OL内の代謝異常の詳細な解析を進めると共に、ニューロン変性への関与についても明らかにする。また、本研究で明らかにしたOL内の分子動態の異常が、神経変性疾患患者の脳および脊髄でも生じているかを検証していく。
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