研究課題/領域番号 |
23K06301
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
青戸 一司 広島大学, 医系科学研究科(歯), 准教授 (60360476)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | てんかん性脳症モデルマウス / ATP6V0A1 / V-ATPase / 脳神経細胞のシナプス小胞・リソソーム / i-GONADゲノム編集マウス / シナプス小胞 / リソソーム / V-Atpase |
研究開始時の研究の概要 |
てんかん性脳症の原因遺伝ATP6V0A1の3変異を見出し、培養細胞、ヒト変異と相同部位の変異を持つA512Pマウスの解析から、V-ATPaseは脳小胞(シナプス小胞・リソソーム)で発現し、小胞内のpH調節、細胞死制御、オートファジー、mTORシグナル制御などに関与することを明らかにした(Aoto,Nature comm.2021)。しかし、A512Pホモ変異マウスは出生後2週間以内に致死になるため、成獣の脳神経でのV-ATPaseの機能は十分に解析できていないので、脳神経の小胞におけるV-ATPaseの生理的役割、小胞の形成・維持に関与する分子群、小胞から始まるシグナル分子群を明らかにする。
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研究実績の概要 |
てんかん性脳症のモデルマウス(Atp6v0a1A512P/A512P)は出生後2週間以内に致死になるため、成獣の脳神経でのV-ATPaseの機能は十分に解析できていない。そこで脳神経の小胞におけるV-ATPaseの生理的役割、小胞の形成・維持に関与する分子群、小胞から始まるシグナル分子群を明らかにするために変異マウスを用いた研究を行なった。 2023年度は、ゲノム編集とエレクトロポレーションを組み合わせた簡便な変異マウス作製法であるi-GONAD法を用いて、時期特異的Atp6v0a1遺伝子欠損マウス; Atp6v0a1-floxと、Atp6v0a1遺伝子のC末端に3xHAタグを挿入したマウス;Atp6v0a1-C-3xHAの作製を行なった。Atp6v0a1-floxは、出生後遺伝子判定、サンガーシークエンスによって確認したところ、5’floxと3’floxそれぞれ片側のみのマウスができたが、同一アリルのものはまだできていない。広島大学へ赴任後は、3’floxのマウスができて、その成長したマウスを元に5’floxを挿入して作製する予定である。 Atp6v0a1-C-3xHAは複数のマウスが作製できた。サンガーシークエンスによる確認も行い、交配によってホモ変異体マウスの作製を試みたが、ホモ変異体マウスは生まれてこなかった。このことは、C末の3xHAタグの付加がAtp6v0a1のタンパク質機能に何らかの障害をきたすためと推測できた。そこで、現在はAlphaFold2を用いたタグを付加する位置の構造解析からN末にFlagを挿入することに計画を変更して、新たにAtp6v0a1-N-Flagマウスの作製を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
浜松医科大学で変異マウスを作製していたが、2023年8月より、広島大学へ異動した関係で、それまで作製していた変異マウスを一旦精子凍結した。移動後に再度作製をすることになったマウスもいる。C末の3xHAタグのマウス(Atp6v0a1-3xHA)は、ヘテロ変異体は、野生型と外見変わらず正常で、交配もできるが、ホモ変異体は、生まれてこなかった。これはC末タグの付加がAtp6v0a1のタンパク質機能に何らかの障害をきたすためと推測できる。そのため、タグの位置をN末にして再度作り直しも進めている。Atp6v0a1のコンディショナルマウス(Atp6v0a1-Flox)は3'のloxP配列の挿入マウスのみができたため、さらに5'の挿入マウスを作製中である。
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今後の研究の推進方策 |
移動による実験計画の遅れを取り戻すべく、広島大学でのラボの立ち上げと、ゲノム編集のi-GONAD法を用いたマウスの再度作製を急ぐつもりである。C末の3xHAタグのマウス(Atp6v0a1-3xHA)のホモ変異体は、生まれてこなかったことから、C末タグはATP6V0A1の機能を阻害すると考えられるために、N末のFlagあるいはHAタグマウスの作製へ変更する予定である。また、広島大学ではFIB-SEMの機器が共通施設に備わっていることから、広域立体構造解析として、連続超薄切片と走査電子顕微鏡(SEM)を用いたアレイトモブラフィー法によるATP6V0A1変異体の脳海馬での三次元観察を取り入れようと考えている。
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