研究課題/領域番号 |
23K06310
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
|
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
山内 健太 順天堂大学, 大学院医学研究科, 助教 (00513079)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | アルツハイマー病 / 組織透明化 / 神経細胞毒性 / 光-電子相関顕微鏡法 / アルツハイマー型認知症 |
研究開始時の研究の概要 |
超高齢社会を迎えた我が国において、認知症の最大原因疾患であるアルツハイマー型認知症(AD)の病理形成機構の解明とその治療法開発は喫緊の課題である。アミロイドβ(Aβ)はAD発症の原因物質として見なされており、Aβプラークの形成は神経突起の局所変性を引き起こす。本研究では、Aβプラーク形成に応じて生じた神経突起の局所性の変性が、神経細胞全体の機能にどのような影響を及ぼすのかを明らかにすることを目指す。
|
研究実績の概要 |
本研究では、透明化標本観察と電子顕微鏡観察とを組み合わせることにより、アミロイドβ(Aβ)プラークがもたらす遠距離神経細胞毒性の存在とその実態とを明らかにすることを目的としている。上記目的を踏まえ2023年度は以下の二項目の研究を実施した。 (1) 超微細構造を保持した組織透明化技術の開発:電子顕微鏡観察には超微細構造の保持が必要となる。そこで研究代表者は、自身の先行研究において開発したScaleSF法(Furuta, Yamauchi et al., iScience: 2021)の溶液組成、反応温度の検討を行うことにより、超微細構造を保持した組織透明化技術の開発を行なった。新規に開発した透明化手法では、超微細構造の保持に優れているのと同時に反応時間の短縮にも成功した。 (2)細胞外膜標識プローブの開発:本研究では、透明化標本で観察を行なった神経細胞のシナプス並びに細胞内小器官の構造の電子顕微鏡観察を行う。細胞外膜の特異的な標識は、シナプス並びに細胞内小器官の超微細構造の電子顕微鏡観察を容易にする。そこでGPIアンカー配列を付加した蛍光タンパク質を発現するAAVベクターを作成し、それらが機能することを光学顕微鏡観察により確かめた。またtag分子、self-labeling protein tagのスクリーニングを行い、電子顕微鏡観察で必要不可欠となるグルタルアルデヒド固定に対して耐性を有するtag分子、self-labeling protein tagの同定に成功した。一連の開発の過程で得た成果を取りまとめ、第129回日本解剖学会総会・全国学術集会で発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は超微細構造を保持した組織透明化技術の開発並びに細胞膜標識プローブの開発に取り組んだ。両開発項目において申請時目標としていた水準を達成することができたと判断したため。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は、①細胞外膜標識CLEMプローブの開発、②アルツハイマー病(AD)モデルマウスでの細胞外膜標識CLEMプローブ発現の最適化の二つを目標に研究を推進していく。 項目①では、前年度までに見出した「蛍光タンパク質にGPIアンカー配列を付加した蛍光タンパク質が細胞外膜標識に有用であること」、「グルタルアルデヒド固定に対して耐性を有するtag分子、self-labeling protein tag」の二つの成果をもとに、光学顕微鏡と電子顕微鏡の連続観察が可能な細胞外標識プローブ(細胞外標識CLEMプローブ)を開発する。 項目②では、細胞外膜標識CLEMプローブを発現するAAVベクターシステムの最適化を図る。具体的には神経細胞の標識密度とプローブの発現量の最適化を図り、透明化標本中で神経細胞の形態再構築が可能な実験系を立ち上げる。その際に電子顕微鏡観察において、細胞外膜のみが標識され、シナプス並びに細胞内小器官の超微形態が十分に可能であるかどうかも検証していく。なおADモデルマウスには、ヒト患者に近いアミロイド病理を呈するAppNL-G-Fマウスを使用することを計画している。
|