研究課題/領域番号 |
23K06316
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
足立 礼孝 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (10631533)
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研究分担者 |
井関 祥子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (80251544)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | クローン解析 / 皮骨頭蓋 / 軟骨頭蓋 / コラーゲン / 頭部骨格筋 / アクチン / 頭骸骨 / 細胞系譜解析 / 神経堤細胞 / 頭蓋縫合早期癒合症 |
研究開始時の研究の概要 |
頭蓋骨は脳や感覚器官を保護するのに必須であるが、頭蓋縫合早期癒合症などの先天性疾患でその発生が乱れると脳の発達を妨げ、重症化した場合には生死に関わる問題となる。頭蓋縫合早期癒合症では骨同士をつなぐ縫合組織が早期に骨化し、これは未分化な縫合組織に分化した骨芽細胞が侵入するなど細胞配置の異常に起因する可能性が示された。しかし1細胞レベルで骨と縫合組織がどの細胞に由来し、どう配置し、どの細胞同士に関係があるのかは不明である。そこで本研究では、まれに遺伝子内組換えを起こすnlaacZレポーターを利用した新規細胞系譜解析方法を確立し、頭蓋骨と縫合組織の1細胞レベルでの由来とクローン関係性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
頭蓋を形成する骨組織のクロー ン解析を実施するために、Col1a1-nlaacZマウスの作製を行なった。骨芽細胞に活性を示すCol1a1プロモーター領域のDNA断片をnlaacZ配列につなぎ、 Rosa26遺伝子座に1コピーだけ挿入した。これはクローン解析において、重複配列をもつnlaacZの遺伝子内組換えを複数の細胞が起こす可能性を低く抑えるためである。現在、Col1a1-nlaacZマウスのオス1匹、メス3匹が作製できており、これらのマウスの次世代を使ってクローン解析を実施する。
頭蓋を構成するもう一つの重要な要素である軟骨組織のクローン解析も実施することにした。軟骨細胞に活性を示すCol2a1プロモーター領域とエンハンサー領域のDNA断片をnlaacZ配列につなぎ、 Rosa26遺伝子座に挿入し、Col2a1-nlaacZマウスを作製する。現在、コンストラクトが完成し、配列を確認している段階である。
これら2つのマウスに加えて、alpha-cardiac actin-nlaacZマウスの作製も行っている。これは共同研究者であり、nlaacZレポーター実験において実績のあるRobert G. Kelly博士からalpha-cardiac actin-nlaacZコンストラクトを頂いたからである。心筋と骨格筋に活性を示すalpha-cardiac actinのプロモーター領域とエンハンサー領域がnlaacZ配列につながれているコンストラクトの、Rosa26遺伝子座への挿入を試みた。現在、オス1匹が作製できたが、解析の結果、Rosa26遺伝子座ではないゲノム領域に1コピーだけ挿入されたことが判明した。このマウスの次世代を使ってクローン解析を実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Col1a1-nlaacZマウスの作製に成功している。すみやかに交配を進め、データを収集する予定である。Col2a1-nlaacZとalpha-cardiac actin-nlaacZのコンストラクトは比較的長いため、Rosa26遺伝子座への挿入に苦戦するケースが予想され、実際alpha-cardiac actin-nlaacZマウス作製の際にそれが見られた。しかし、Rosa26遺伝子座ではないゲノム領域にコンストラクトが1コピーだけ挿入され作製に成功している。これに関しては、もう一度Rosa26遺伝子座へのコンストラクトの挿入を試みる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
Col1a1-nlaacZマウス、Col2a1-nlaacZマウス、alpha-cardiac actin-nlaacZマウスを作製し、それぞれ頭蓋の骨組織、軟骨組織、そして頭部骨格筋のクローン解析を実施する。Col1a1-nlaacZマウスとalpha-cardiac actin-nlaacZマウスは作製できたので、すみやかに交配し、データを収集する予定である。別のアプローチとして、Wnt1-CreERTとRosa26-LacZレポーターマウスでの実験も同時に試みている。タモキシフェン量を調節し、一部の神経堤細胞を標識し、クローン解析を実施する。
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