研究課題/領域番号 |
23K06319
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
篠田 友靖 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (80505652)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 神経幹細胞 / 脳発生 / 運命決定 / 神経系前駆細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
哺乳類の脳を作る細胞を生み出す幹細胞は、脳の一番深部で細胞分裂を行い増殖し、その核は細胞周期に応じて、規則的に「深部から浅部、浅部から深部」に動く。神経系前駆細胞の分裂により誕生した娘細胞たちは、神経細胞に分化するものもあれば幹細胞としてとどまるものもある。本研究では、この「娘細胞の確率論的な運命選択」が「娘細胞の核運動動態」と関連しているという仮説を立て、娘細胞の動態・形態観察と、娘細胞の運命選択のリアルタイムな観察を元に、「確率」を生み出す根底たる機序の解明に挑む。 本研究により得られる知見は、既知の運命選択プロセスとは根源的に異なった、新しい概念をもたらすものとなる。
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研究実績の概要 |
哺乳類の脳を作る細胞を生み出す幹細胞、すなわち神経系前駆細胞は、脳の一番深部で細胞分裂を行い増殖し、その核は細胞周期に応じて、規則的に「深部から浅部」もしくは「浅部から深部」に動く。神経系前駆細胞の分裂により誕生した娘細胞たちは、神経細胞に分化するものもあれば幹細胞としてとどまるものもある。数々の先行研究から、この運命選択は決定論的ではなく確率論的なものであることが示唆されている。再現性のある脳発生が行われるためには、この娘細胞たちの運命選択の「確率」が厳密に定まっていることが必然的に求められる。そうでなければ、脳が神経細胞だらけになったり、逆に前駆細胞だらけになったりしてしまうからである。しかしながら、既報の運命選択メカニズムだけでは、なぜ運命選択の確率が一定に担保されるのか説明することはできない。本研究ではこの「確立を一定に担保するメカニズム」の探索を行う。 実は誕生直後の娘細胞ペアは細胞の形態が大きく異なる。申請者は過去に誕生直後の娘細胞の核運動を詳細に解析し、娘細胞ペア間で核運動の様式が大きく異なることを見いだしている。脳室面から脳表面まで細胞体が繋がっている娘細胞の核は素早く浅部方向に動くが、脳表面に接続していない方の娘細胞核は、浅部方向への初動が生じるタイミングに非常に大きいばらつきがある。 本年度はまず娘細胞核の「初動のタイミング」を決める要素の探索を行った。顕微鏡化で脳原基を培養し、蛍光タンパクで標識した神経系前駆細胞の細胞分裂と、それにより誕生した娘細胞ペアの一定時間経過後までの核動態を撮影した。脳表面に接続していない方の娘細胞は、核運動の「初動」の前後に脳表面方向へ突起を伸ばすことをすでに見いだしていたが、その突起の伸長の開始と初動のタイミングの相関を計測した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初想定していたよりも、娘細胞核の動態と突起の伸長の関連性を調べるのに時間を費やしている。 誕生後の「脳表面まで繋がっていない方の娘細胞」は、脳表面方向への核運動の初動が開始するまでに最大で3時間ほどかかるので、脳原基の培養・撮影の時間を長く取る必要がある。ところがその間にもう片方の娘細胞が撮影視野から外れてしまったり、そもそも娘細胞核を追跡するために蛍光タンパクの導入効率をあげることが難しく、対象数を多くすることが困難である。多点撮影システムを使い対象数を増やすことができれば、より効率よくデータが取れるはずである。
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今後の研究の推進方策 |
娘細胞核の動態と運命選択の関連性を調べるために、細胞運命を知ることができる免疫染色と「細胞の運命状態を知ることができるトランスジェニックマウス」を脳原基内の細胞イメージングと組み合わせた解析を行う。 また、運命を決定する分子機構として関与が示唆されている「Delta-Notch」が、前述の動態との関連がある可能性を調べる。
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