研究課題/領域番号 |
23K06323
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
小池 正人 順天堂大学, 大学院医学研究科, 教授 (80347210)
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研究分担者 |
横田 睦美 順天堂大学, 大学院医学研究科, 助教 (10647415)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | PRKN / ドパミン細胞 / iPS細胞 / ERMCS / 光顕・電顕相関観察 / 近接ライゲーションアッセイ / RNA-seq / ATP6AP2 / リソソーム / リソソーム不全 / 神経細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
リソソームの機能不全は希少疾患のリソソーム病のみならず、パーキンソン病などより頻度の高い神経変性疾患の発症にも関連することが知られている。しかし、神経細胞内におけるリソソーム機能不全のどのような応答がそれぞれの疾患の発症に関与するかについては不明な点が多い。そこで、順天堂大学ゲノム再生医療センターのリソースを最大限に活用し、健常者iPS細胞株より新たに細胞株を作出し、様々な領域の神経細胞への分化や脳オルガノイド作製を行う。得られた神経細胞や脳オルガノイドの形態学的、機能的解析および遺伝子発現解析を通して、リソソーム機能不全に対する神経細胞の応答性を明らかにすることを目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は、マイトファジーに必須とされるPRKNに着目し、PRKN遺伝子変異患者iPS細胞由来ドパミン作動性ニューロンにおける小胞体とミトコンドリア間のコンタクトサイト(ER-mitochondrial contact sites : ERMCS)の変化を明らかにするため、ドパミン作動性ニューロンマーカーであるTyrosine Hydroxylase(TH)遺伝子にGFP遺伝子をノックインしたTH-GFP iPS細胞を用いて光顕・電顕相関観察や近接ライゲーションアッセイ、ミトコンドリアカルシウムイメージングを行った。その結果、PRKN変異患者におけるERMCS量の減少とミトコンドリアへのカルシウム流入の減少を見出した。これらの結果からPRKN変異患者ドパミン作動性ニューロンにおいてERMCS減少による小胞体からミトコンドリアへのカルシウム流入障害が示唆された。 さらに、PRKN変異患者TH-GFP iPS細胞由来GFP陽性ドパミン神経細胞(CCCP24時間処理)についてRNA-seq解析した結果、ATP6AP2の発現が健常者と比較して減少していた。ATP6AP2はリソソームの酸性化に関わるV-ATPaseのアッセンブリーに関与することが知られており、ATP6AP2遺伝子変異はてんかんやX連鎖性パーキンソニズムで報告されている。そこで、X連鎖性パーキンソニズムで報告されているc.345C>T変異(exon4スキッピング)を相同組み換えによってiPS細胞へ導入するため、c.345C>T変異を含む一本鎖DNAとATP6AP2exon4をターゲットとしたgRNAとCas9共発現ベクターを作製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マイトファジーに必須とされるPRKNについて、その遺伝子変異患者iPS細胞由来ドパミン作動性ニューロンにおける小胞体とミトコンドリア間のコンタクトサイトが減少することを形態学的、生理学的に明らかにすることができ、論文発表に至った。さらにRNA-seq解析におりPRKN遺伝子変異患者iPS細胞由来ドパミン作動性ニューロンにおいて減少しているリソソーム関連タンパク質をコードする遺伝子を同定した。
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今後の研究の推進方策 |
X連鎖性パーキンソニズムで報告されているATP6AP2遺伝子のc.345C>T変異をノックインしたiPS細胞を作出する。この細胞から神経細胞に分化させ、形態学的変化や、さまざまなストレスに対する脆弱性などについて、健常者由来神経細胞との比較を行う。
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