研究課題/領域番号 |
23K06338
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48020:生理学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
高橋 倫子 北里大学, 医学部, 教授 (60332178)
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研究分担者 |
畠山 裕康 北里大学, 医学部, 准教授 (00619067)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 膵内分泌 / 細胞内小胞 / 蛍光イメージング / 糖尿病 / インスリン / シナプス小胞 |
研究開始時の研究の概要 |
インスリンを分泌する膵β細胞の機能不全は、2型糖尿病の主成因の一つである。膵β細胞にはシナプス小胞様顆粒も存在し、分泌刺激が与えられるとインスリン顆粒に先行して多数、膜融合する。しかし、大きさが光学顕微鏡の解像度に満たず、構造や動態、機能的意義は未解明である。我々は膵島の SLMVに発現する内因性分子を標識する技術を開発し、インスリン顆粒動態との比較を通して、SLMV の動態と調節機構を検討する。
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研究実績の概要 |
膵内分泌細胞の内部におけるシナプス小胞様顆粒の動態は、細胞の機能維持や形態変化に深くかかわると考えられ、インスリンを含む顆粒の動態と合わせて検討する必要がある。そこでこれらを蛍光顕微鏡で可視化するため、シナプス小胞膜上に発現する分子:synaptophysin の顆粒内領域にpH感受性色素を挿入した発現ベクターを構築した。培養したラットインスリン産生細胞由来INS-1細胞にlipofection 法にて過剰発現させ、高速高感度共焦点顕微鏡で実時間イメージングを行った。NP-EGTA-AMをあらかじめロードした後、任意のタイミングで紫外線照射を行いcaged-Ca 試薬による刺激実験を実施し、細胞内にCa濃度上昇を与えた。開口放出に伴う小胞内のアルカリ化を反映するシグナルの可視化に成功し、持続性であることを確認した。これらのシグナルの得られた部位はインスリン分泌顆粒の存在場所とは異なり、クラスター化が認められた。以上の結果はシナプス小胞様顆粒の動態を反映するものと解釈している。 一方で、シナプス小胞様顆粒の動態解析に加えて、インスリン顆粒動態との関連や細胞骨格、細胞内シグナル伝達との関連も調査する必要があると考え、INS-1 細胞やマウス膵島クラスター標本において、高グルコース刺激における変化の観察も並行して手掛けている。そして、高グルコース刺激における顆粒運動の活発化やそれが起きる時期、そしてATP感受性Kチャネルの活性化時期、非代謝型グルコースへの反応を調べることで、顆粒運動に必要な要素を示唆する基礎的データを獲得した。さらにこうしたグルコース刺激によるアクチン細胞骨格の変化にも特徴を見出している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
機能解析目的のイメージング実験および細胞刺激系が安定して動き、一定のポジティブデータの獲得に成功している。また、遺伝子組み換え系や細胞培養系も利用することができる。シナプス小胞様顆粒の動きとインスリン顆粒や細胞骨格系の動きを可視化できる実験系は少なく、各種刺激における変化を定量的に検出する系も持ち合わせているため、独自性のある研究が推進できていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は小胞に発現するさらに数種類の分子の標識を行うべく準備を進めるとともに、インスリンプロモーター利用の可能性にも着手し、膵クラスター標本においてベータ細胞特異的にシナプス商標用下流を標識する可能性を追求する。また、多様な生理的条件下における動態の可視化とインスリン分泌反応との関連や細胞骨格、細胞内シグナルとの関連についても調査を進める予定である。
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