研究課題/領域番号 |
23K06356
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48030:薬理学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
Thumkeo Dean 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (40372594)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 制御性T細胞 / PGE2 / 腫瘍 / Treg / 免疫抑制 / がん |
研究開始時の研究の概要 |
免疫チェックポイント阻害剤の登場はがん治療に希望を与えるものであるが、近年、制御性T細胞(Treg)による免疫抑制など免疫チェックポイント以外のがん免疫回避メカニズムも注目されている。本研究は、1) PGE2によるTreg活性化の分子作用機序と転写制御メカニズムを、次いで2) 免疫チェックポイント阻害剤非感受性がんモデルマウスにおけるTregのPGE2シグナルの病態生理学的意義を解明することを目的とする。本研究の目的達成により、EP2/4拮抗薬を用いたがん免疫治療の臨床試験を加速させ、臨床応用への貢献が期待される。
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研究実績の概要 |
制御性T細胞は免疫抑制に関わる免疫細胞である。これまでの研究により、Treg細胞の細胞表面に存在する特異的な細胞表面分子であるCTLA-4やPD-1などが、他の免疫細胞との相互作用を通じて免疫応答を制御することが示されています。特に、CTLA-4は標的細胞のB7分子と競合して結合し、抗原提示細胞の活性化を阻害します。また、Treg細胞はIL-10やTGF-βなどの免疫抑制サイトカインを分泌し、周囲の免疫応答を抑制することで免疫のバランスを維持します。申請者はこれまで、脂質メディエータープロスタグランジンE2(PGE2)の受容体であるEP2とEP4の阻害剤を用いた薬理学的実験とEP2とEP4ノックアウトマウスを用いた遺伝学的実験により、PGE2はTregのEP2とEP4を作用し、腫瘍浸潤Tregの免疫抑制活性を高めることを見出した(Thumkeo et al., Cell Rep, 2022)。しかし、EP2とEP4の下流の細胞内情報伝達の分子メカニズム、及び、これがin vivoの腫瘍増大に及ぼす影響については、まだ不明な点が多い。本研究では、PGE2-EP2/4 シグナルによるTregの免疫抑制増強作用発見を基盤に、1) PGE2によるTreg活性化の分子作用機序と転写制御メカニズムを、次いで2)免疫チェックポイント阻害剤非感受性がんモデルマウスにおけるTregのPGE2シグナルの病態生理学的意義を解明することを目指し、研究を行った。昨年度は、cAMP経路がPGE2-EP2/EP4の下流でどの程度Tregの免疫抑制活性に関与しているのかにつ いての検討を行い、また、 タモキシフェン誘導型Treg特異的なEP2・ EP4受容体欠損マウス(Foxp3eGFP/Cre-ERT2EP2fl/flEP4fl/fl)にLLC1癌細胞を皮下に担癌し、この免疫チェックポイント阻害剤無効がんモデルにおける腫瘍増殖がどの程度抑制されるのかを検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、上述したように、cAMP経路がPGE2-EP2/EP4の下流でどの程度Tregの免疫抑制活性に関与しているのかについての検討を行い、また、 タモキシフェン誘導型Treg特異的なEP2・ EP4受容体欠損マウス(Foxp3eGFP/Cre-ERT2EP2fl/flEP4fl/fl)にLLC1癌細胞を皮下に担癌し、この免疫チェックポイント阻害剤無効がんモデルにおける腫瘍増殖がどの程度抑 制されるのかを検討した。現在は LLC1モデルに続き、B16F10モデルにおける効果も検討している。以上のことから、本研究はおおめね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
上記のこれまでの実績で述べたように、制御性T細胞の免疫抑制活性はPGE2-EP/EP4シグナルに依存しているが、現在までさらにcAMPアナログやcAMPシグナルの阻害剤を用いて、その影響をFACS解析等によって検討した。今後はcAMPの下流で活性化することが報告されているCreb,Crem,やNf-kbなどの転写因 子の機能阻害実験を行い、同様にFACS解析でその影響を評価し、 cAMPの下流の詳細をさらに明らかにする。一方で、in vivo実験については、LLC1モデルに加えて、今後はB16F10モデルについても評価を行う予定である。
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