研究課題/領域番号 |
23K06365
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48030:薬理学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
冨田 修平 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 教授 (00263898)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | HIF-PH阻害薬 / マクロファージ / 自然免疫 / 腫瘍免疫 / 低酸素 |
研究開始時の研究の概要 |
最近、抗腫瘍効果を示す腫瘍内Ly6CloMφ集団の発現機能解析を通して、HIFを介して誘導される、腫瘍細胞の貪食を活性化する因子としてHIF-induced Phagocytosis Activating Factor(HPAF)を抽出・同定した。本研究では、腫瘍内Mφに発現するHPAFが示す抗腫瘍効果の分子機序の解明を通して新規治療基盤の確立を目指す。本研究の遂行は、現行の治療法では難治性を示すがんに対して、自然免疫の賦活化過程を標的とした新しい腫瘍免疫療法の創出の糸口になることが期待できる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,HIFシグナルを増強するPHD-HIFを基軸とした詳細な分子解析を通して、HIF-PH阻害薬により形質変換した腫瘍内Mφが抗腫瘍効果をもたらす機序を明らかにすることを第一目的とする。本研究の遂行は、現在の腫瘍免疫療法では難治性を示すがんに対して,自然免疫の活性化過程を標的とした新しい腫瘍免疫療法を創出する可能性を有しており、新規創薬研究分野にも繋がることが期待される。本研究では、PHD-HIFシグナルの活性化による腫瘍内Ly6CloMφの抗腫瘍効果の促進機序の解明を目指す。また、Mφを介する細胞障害性T細胞などの獲得免疫機能の賦活化に対する影響を検証する。 申請者は、PHD-HIFシグナルの活性化により腫瘍内Ly6CloMφに誘導される貪食作用促進に寄与する候補分子としてHIF-induced Phagocytosis Factor (HiPAF)を同定し、更にその機能解析を進めた。その結果、HiPAF-1は、in vitroにおいて骨髄由来Mφ(BMDM)のビーズの貪食活性を促進した。またin vivo実験としてLewis肺癌細胞株を移植した担がんマウスモデルにリコンビナントのHiPAF-1を投与すると腫瘍増殖の抑制効果が見られた。さらにクローニングしたHiPAF-1cDNAをレンチウイルスベクターに組み込み安定的に強制発現させたBMDMを担がんモデルマウスに導入したところ、担がん腫瘍サイズは優位に減少した。また、HiPAF-1の各種機能ドメインを欠失した分子の導入では、特異的に腫瘍増殖を抑制する機能が失われているものもあった。現在、HiPAF-1遺伝子欠失の遺伝背景を持つマウスで同様の検証実験を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
遺伝子導入システムの構築がスムーズに進み、実験全体が前倒して進行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で抽出されたHIF誘導性マクロファージ由来の抗腫瘍効果を示す候補分子群HiPAFの実態を更に解明する。複数の候補分子についてもHiPAF-1同様、さらに機能獲得変異体や機能欠失変異体を作製し、それら分子群の機能を明らかにしていく予定である。また、HiPAF-1については、臨床応用を見据え、当該分子の機能領域を確定するために網羅的に相互作用する分子の解析を進めている。これらの基盤研究より創薬につながる応用研究を進めていく予定である。
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