研究課題/領域番号 |
23K06377
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48040:医化学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
簗取 いずみ 京都大学, 医学研究科, 講師 (40454847)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 鉄代謝 / 還元酵素 |
研究開始時の研究の概要 |
Fe2+取込みは次の3ステップにより成立する。①Fe3+→Fe2+への還元反応、②Fe2+輸送体DMT1がFe2+を細胞質へ輸送、③鉄シャペロンPCBPがDMT1からFe2+を直接受け取り細胞質にて分配する。代表者は、鉄輸送体DMT1、鉄シャペロンPCBPの機能解析を成功させ、②、③のメカニズムを明らかにしてきた。本研究に先立ち行った鉄代謝制御因子探索を目的としたスクリーニングの結果、①に寄与する候補分子として肺がん抑制因子として知られる還元酵素を新たに見出した。そこで鉄取込み機構の全段階解明に向け、鉄の還元反応に注目し解析を推進する。
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研究実績の概要 |
2012年、過剰鉄により惹起される活性酸素(ROS)が膜の不飽和脂肪酸を過酸化することで誘発される細胞死(フェロトーシス)が発見された。しかし、フェロトーシス研究は過酸化脂質還元酵素であるGPX4などの抑制機構の解析が中心であり抑制系の解明は飛躍的に進んだが、鉄制御機構の破綻に伴う鉄毒性惹起機構に関しては未解明である。多くの疾患とフェロトーシスとの関連性が明らかになってきた現在、フェロトーシスの機序を解き明かすうえにおいても鉄代謝制御機構の詳細に注目した解析が必須である。 そこで、所属研究室にて構築した鉄取込み亢進細胞を使用し、CRISPR-Cas9スクリーニングを行ったところ、新たに鉄取り込みに関与する分子を見出すことに成功した。 本年度は、この新たに見出した鉄取り込み亢進分子のKO細胞を作製し、鉄代謝制御因子の解析、鉄取り込み過程のどのプロセスに関与するか等について解析を推進した。細胞内への鉄取込みは3ステップにより行われる:① Fe3+→Fe2+への還元反応、② Fe2+が鉄輸送体DMT1により細胞質へ輸送、③ 鉄シャペロンPCBPがDMT1からFe2+を直接受け取り細胞質にて分配する。当該分子は鉄の還元反応に関与していることを明らかにした。本分子をKOすると、主たる鉄取込み機序であるトランスフェリンートランスフェリン受容体を介した鉄取り込みが顕著に抑制されることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、新たに見出した鉄取込み亢進分子のKO細胞の作製、相同分子入れ戻し実験における細胞内鉄濃度の測定や他の鉄代謝制御因子の変動について解析を推進することができた。また当該分子が細胞内での鉄の還元に寄与する可能性を見出すことに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の結果をもとに、鉄還元酵素への電子供与システムと鉄取り込み機序について解析を推進する。2つの方法により解析を推進する。1つ目に大腸菌・昆虫細胞系蛋白質発現解析システムを用い、鉄取込み亢進分子のタンパク質の大量精製、構造解析による機能検証を行う。2つ目に、鉄還元酵素への電子供与体として機能するAscやNADPH代謝と鉄代謝の統合的解析を推進する。Ascの代謝機構はほとんど未解明のままである。そこでAscの取込みに関わる輸送体の発現制御因子の探索をマイクロアレイ法やChip-seq法により解析し、発現制御機構を明らかにする。またAscプローブを用いて細胞内オルガネラ間のAsc動態を経時的に解析する。さらに、鉄取り込み時におけるAscオルガネラ間でのAsc量と鉄取込みの相関関係を解析する。 さらに、当該分子が肺がんの発症に関与するという報告があることから、肺がん細胞を用いて機能解析を推進するとともに鉄代謝と肺がん発症の関連性について解析を進める。
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