研究課題/領域番号 |
23K06385
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48040:医化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
秋山 伸子 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 上級研究員 (60342739)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 免疫寛容 / 胸腺上皮細胞 / 組織特異的抗原 |
研究開始時の研究の概要 |
自己応答性 T 細胞の除去に必要な胸腺髄質上皮細胞(mTEC)は、組織特異的な自己抗原を異所的に発現する。mTECによる自己抗原の発現は遺伝子発現レベルで制御され、多種類の組織特異的遺伝子が無秩序に発現する。核内因子Aireはその発現制御に関わるが、その詳細は不明である。最近、申請者は増殖中のAire+ mTEC(TA-TEC)を同定した。TA-TEC は Aire を発現するものの組織特異的自己抗原は発現しておらず、無秩序に遺伝子発現をする成熟mTECへと変換する起点となる。本課題は TA-TEC における Aire の機能を検証することにより、無秩序な遺伝子発現制御機構の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
自己応答性T細胞の除去に必要な胸腺髄質上皮細胞(mTEC)は、組織で特異的に発現するタンパク質(TSA)を「異所的」に発現する特性を持つ。mTECによる TSA 発現は遺伝子発現レベルで制御され、多種類の組織特異的遺伝子が無秩序に発現する。核内因子 Aireはその発現制御に関わるが、その分子機構は未だ十分に明らかになっていない。これまでに申請者らは増殖中のAire+mTEC(TA-TEC)を同定した(eLife 11: e73998, 2022)。このTA-TEC細胞はAireを発現するがTSAは発現しておらず、無秩序に遺伝子発現をする成熟mTECへと変換する起点となる。本課題はTA-TEC におけるAireの機能を検証することにより、無秩序なTSA遺伝子の発現制御メカニズム解明を目指している。 最近、申請者らは TA-TEC の表面マーカーとしてケモカインレセプターXを同定した(未発表)。したがって、Xの抗体を用いて野生型のマウスからTA-TECを採取可能となった。また、この因子のプロモーター下流でタモキシフェン依存的にCre-recombinaseを発現する遺伝子改変マウスを入手した。TA-TECのfate-mapping を行う目的で、ROSA26領域にCre-loxPシステムで制御される蛍光タンパク tdTomato遺伝子を導入したマウスと交配し、タモキシフェン投与後、この因子を発現した細胞を蛍光タンパク質により追跡した。その結果、Xを発現した細胞は成熟Aire+mTEC、Aire-Mimetic cell、mTECIVに分化することが明らかになった。また、X 陽性細胞は未分化と考えられていたITGB4+Aire-mTEClo(mTEC I)にも分化することが明らかとなった。この結果は、TA-TECからこれまでに知られていなかった分化経路があることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、TA-TECのfate-mapping解析を行い、TA-TECからmTECIへ分化するという新たな知見を得た。
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今後の研究の推進方策 |
1. TA-TECの Aire 結合領域の特定:上記の手法で得られたTA-TECおよび分化後の成熟 mTEC について、Aire の抗体を用いて ChIP-seq (Chromatin immunoprecipitation followed by high-throughput sequencing)を行う。TA-TECは1匹あたり10000個程度採取可能であり、少数の細胞で実行可能な Cut&Run法(Genes Dev. 32:1525, 2018)を用いて行う。TA-TEC と成熟 mTEC における Aire 結合部位を比較検討する。 2. TA-TECのヒストン修飾の特定:TA-TEC およびその分化後の成熟 mTEC について、抗ヒストン抗体(H3K4me, H3K27acなど)を用いて ChIP-seq を行う。TA-TEC と成熟 mTEC におけるヒストン修飾を比較検討する。また、成熟期に転写活性化される部位はどの時期から決まるのか、経時的な変化を検討する。 3. TA-TECのヒストン修飾におけるAireの必要性: Aire欠損マウスを用いてTA-TECおよび成熟 mTEC のヒストン修飾について調べる。TA-TEC のヒストン修飾における Aire の必要性を検討する。 4. 器官培養系を用いた検討:胎仔胸腺の器官培養系において、TNFファミリーに属するRANK ligandによって刺激することにより、TA-TECを経て組織特異的抗原を発現する成熟 mTEC までの分化を誘導する。その際、TA-TEC増殖の時期特異的にヒストン修飾酵素の阻害剤を添加し、TA-TEC 増殖時期におけるヒストン修飾がその後の成熟mTECの遺伝子発現に与える影響を調べる。
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