研究課題/領域番号 |
23K06391
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48040:医化学関連
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
浦西 洸介 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (40783238)
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研究分担者 |
奥田 晶彦 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60201993)
鈴木 歩 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (80639708)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | Mga / PRC1.6 / 減数分裂 / Setdb1 / Atf7ip / H3K9 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、PRC1.6の構成因子であるMgaが初期発生において、減数分裂関連遺伝子へのH2AK119ubの導入といった条件的ヘテロクロマチン形成だけでなく、H3K9のトリメチル化を行う酵素であるSetdb1と、ブリッジングファクターであるAtf7ipを介して相互作用を行うことによってH3K9me3を直接的に制御し、構造的ヘテロクロマチン形成に寄与しているということを、ES細胞からEpi幹細胞への分化系や、ノックアウトマウスを用いた実験によって証明する。
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研究実績の概要 |
本研究では、転写因子Mgaが非生殖細胞における減数分裂関連遺伝子の安定的抑制機構の構築に寄与するという仮説を証明するために研究を行っている。MgaのbHLH部位破壊ES細胞(MgaΔbHLH ES細胞)では、PRC1.6の活性によるH2AK119ubの低下だけでなく、H3K9me3修飾の低下が見られていたがどのような相互作用によるものであるかは不明であった。このH3K9me3の低下の原因となる遺伝子として、Atf7ipとSetdb1を同定した。MgaとAtf7ipが相互作用するためには、それぞれMgaのFAMモチーフとAtf7ipのFNIIIドメインが重要であることを見出していたため、MgaのFAMドメインのノックアウトES細胞(MgaΔFAM ES細胞)を樹立して野生型との違いを比較したところ、MgaΔbHLH ES細胞ほどでは無いにせよ、MgaΔFAM ES細胞でも減数分裂関連遺伝子の発現上昇が見られた。野生型のMgaとMgaΔFAMを比較すると、FAMモチーフの欠損によりMgaとAtf7ipの相互作用が著しく低下し、その上Setdb1との相互作用も減少していることが明らかになった。加えて、Chip assayおよび、ChIP-sequenceにより発現が上昇している遺伝子は、H3K9me3修飾が低下していること、更にはMeDIP assayによって、ES細胞の状態で既にDNAのメチル化までもが減少していることが明らかとなった。一方で、Atf7ip KO ES細胞の解析を行ったところ、MgaΔFAM ES細胞と同様に減数分裂関連遺伝子の発現上昇と、H3K9me3修飾の低下が見られた。これらのことから、MgaとAtf7ipは相互作用することにより、PRC1.6非依存的にH3K9me3修飾を導入することにより、減数分裂関連遺伝子の安定的な抑制機構の構築に寄与していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は、これまでの実験により、MgaΔFAM ES細胞とAtf7ip KO ES細胞を用いた実験により、MgaのFAMモチーフがAtf7ipとSetdb1のリクルートに重要であること、MgaΔbHLH ES細胞とは違い、MgaΔFAM ES細胞では発現上昇した遺伝子のH3K9me3修飾のみが低下していること、MgaのFAMモチーフはPRC1.6非依存的にSetdb1をリクルートし、ヒストンH3にH3K9me3修飾を導入できること、また、Atf7ip KO ES細胞でも発現が上昇した減数分裂関連遺伝子では発現制御領域のH3K9me3修飾が低下していること、実際にES細胞内ではH3K9me3が低下する遺伝子にはPRC1.6が集積していること、さらにはES細胞からEpi幹細胞への移行時に減数分裂関連遺伝子の発現制御領域のCpGアイランドのメチル化が導入されることが推察されていたが、実際には未分化なES細胞の時点でメチル化導入の下地が既に構築されていることなど、多角的なデータが得られたため、国際誌に投稿するために現在論文を執筆しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
現在、今までの実験で得られたデータを取りまとめて論文の執筆を行っているところであるため、論文の投稿後のレビュアーから課せられるRevise実験を主に行っていく予定である。また、論文がAcceptされた折には、本研究をより発展させるために、本研究中に更に得られた仮説を明らかにするための実験を行う予定である。具体的には、MgaΔFAM ES細胞を用いてWhole genome bisulfite sequence解析に加えて、Mgaを素早く分解できるAID-Degronの系を用いてより短時間でMgaをノックアウトできるES細胞を作製し、その細胞ができ次第追加でChIP-sequenceやRNA-sequence、Whole genome bisulfite-sequenceなどの実験を行う予定である。
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