研究課題/領域番号 |
23K06394
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48040:医化学関連
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
上田 奈津実 (石原奈津実) 東邦大学, 理学部, 准教授 (60547561)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 記憶固定 / オルガネラ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、申請者の持つ未発表データに基づき、オルガネラ局在変化に着目した認知症治療薬の開発を目指し、創薬や治療戦略に繋がる基礎技術の構築と評価を目的とする。我が国は超高齢社会を迎えており、認知症初期の時点での治療は最重要課題の一つであることから、ブレークスルーになる新たな概念を提示することが狙いである。
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研究実績の概要 |
近年、経験した出来事を時間、空間的な文脈とともに記憶するエピソード記憶の保持障害や理解・判断力の障害などはあるが、日常生活に支障をきたさない状態が軽度認知障害と定義された。軽度認知障害から年間10-30%が認知症に進行する一方で、5年後に38.7%が正常化したという報告もなされた(Malek-Ahmadi, Alzheimer Dis Assoc Disord 2016)。認知症を根治できる薬物療法は存在しないことから、可逆性の残る軽度認知障害に対する創薬候補分子の探索や治療法の確立が求められている。学習・記憶の素過程は、ニューロン同士の接着部位(シナプス)において伝達効率の上昇が長期的に持続する長期増強(LTP)であり、樹状突起スパインの構造変化である。スパインの構造変化はアクチン細胞骨格の重合により引き起こされるが、体積変化が数時間以上持続し、LTPが持続する分子基盤は不明な点が多い。報告者はアクチン、微小管、中間径フィラメントに次ぐ第4の細胞骨格であるセプチン(SEPT1-14)の神経系における役割を探索してきた(Ageta-Ishihara et al., Nat Commun 2013, Nat Commun 2015, Neurochem Int 2018, Neurosci Res 2021)。報告者は多様な精神・神経疾患との関連が示唆されているセプチン細胞骨格の生理機能を探索する中で、セプチン細胞骨格と記憶固定化との関与を見出している。本研究では、これら未発表データに基づき、chemically induced dimerization(CID:化学的タンパク質二量体化法)を応用した技術の構築を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通りに実験が進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
FKBP(FK506-binding protein)とFRB(FKBP-rapamycin binding domain of FKBP12-rapamycin associated protein)は、有機小分子ラパマイシンの添加によって結合する性質を持つため、ラパマイシン存在下でヘテロダイマー化し、人工的に標的分子の複合体を構築する。株化細胞に導入し、ラパマイシン添加による複合体形成を指標に最適な組み合わせを決定したことから、最適化したプラスミドを初代培養ニューロンに導入し、株化細胞の結果の再現性を検証する。具体的には、初代培養ニューロンに最適化したCIDプラスミドを導入し、成熟スパインの割合を算出する。さらに、初代培養ニューロンにCIDプラスミドとニューロンの活動を可視化するCa2+プローブを導入し、E-LTP誘導/ラパマイシン処理前後でCa2+応答のイベント回数を計測し、E-LTP誘導刺激でL-LTPが出現することを観察するための予備検討を進める。
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