研究課題/領域番号 |
23K06465
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
中島 正洋 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (50284683)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 甲状腺がん / 細胞接着と極性 / EMT / 組織構築 / 不均一性 / がん遺伝子パネル / 組織学的不均一性 / 細胞極性 / 細胞接 |
研究開始時の研究の概要 |
甲状腺がんの組織構築には通常heterogeneityがあり、高分化がんにも高悪性度亜型成分が混在し、時に未分化がん成分への移行を示す。未分化がんへの進展過程には 上皮-間葉転換(EMT)や極性の乱れ・細胞接着の異常(LOP/LCC)が関与する。Hobnail亜型や微小乳頭構造はLOP/LCCを反映する形質で、乳頭がんの浸潤部でしばしば観察される。本研究では通常型高分化がんから高リスク型高分化がん、低分化がん、未分化がんに至るまで、甲状腺がんを構成する異なる組織学的構造を細胞接着と極性の観点から分子病理学的に整理し、がん遺伝子パネル解析によりgenotypeとの関係を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では、甲状腺乳頭がん(PTC)の高悪性度組織亜型である高細胞亜型、円柱細胞亜型、充実/索状亜型、Hobnail亜型、さらに分化型高異型度甲状腺がん、低分化がん(PDTC)、未分化がん(ATC)を構成する形態学的基本構造毎に、細胞接着や極性に関与する複数の因子の発現を、多重蛍光免疫染色で詳細に解析し、高リスク甲状腺がんの形態形成と未分化転化との関係をEMTやLOP/LCC(LOP: loss of polarity /LCC: loss of cell cohesiveness)の観点から明らかにする。97例の原発性甲状腺がんを解析し、16例のBRAF V600とTERT promoterのdouble mutantを検出し、その全てで浸潤部にLOP/LCCパターンを認め、14例がpT3 or 4、10例がpN1で、9例がKi67標識率6% 以上であることが判明している。本年度はこれらの組織を用いて、予後不良亜型である高細胞亜型には、通常型PTCと異なり、β-cateninの核上部胞体内発現や Claudin-1とVimentin不均一発現が、Hobnail亜型成分にはVimentin、Claudin-1、ZO-1、β-cateninの発現低下が関与すること、高細胞亜型のβ-cateninの核上部胞体内発現はGolgi装置と共局在すること、PDTCの索状や充実成分はCK8/18とE-cadherinが発現低下するがZO-1やAfadin、Vimentinの発現によるApical-basal polarityは保たれていることが判明した。これらの結果は、甲状腺がん進行に関連する組織構築の変化過程には細胞骨格と細胞間接着のダイナミックな変化が関与することを示唆していて、細胞接着性や中間フィラメントの調節異常が高分化がんの予後不良亜型やPDTCの形態形成に重要と思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度に、CK8/18とβ-cateninの二重染色にて正常濾胞ではCK8/18がbasilar、β-cateninはlateralを主体に発現が、PTCの乳頭状パターンではCK8/18がapical、β-cateninはlateralを主体に発現が観られ、乳頭状パターンではCK8/18の発現極性が変化していることが判明した。高細胞亜型ではβ-cateninの発現が、細胞膜ではなく、核上部に点状に観察され、Golgi glycoprotein-1(GLG)とβ-cateninの二重染色で点状の異所性β-cateninはGolgi apparatusに局在しaggresomeを形成していることが推察された。さらにClaudin-1とCK8/18またはβ-catenin2組の二重染色ではClaudin-1の発現が乳頭状パターンの先端部のapicalに発現が増強し、CK8/18やβ-cateninと共局在するが、他の部分では減少していて、heterogeneityを示すことが判明した。以上のように、 乳頭がんの乳頭状パターンでは細胞極性に異常があり、細胞間接着は減少する。そこには、細胞接着因子であるβ-cateninの分解異常が関与する可能性がある。さらにtight junction関連分子ZO-1とadherent junction関連分子であるAfadinにより、PDTCの索状・充実成分での極性の存在は保たれているが、上皮性形質の低下が見られることが判明した。、高細胞亜型、Hobnail亜型やPDTCで、細胞骨格と細胞間接着のダイナミックな変化が関与することが明らかとなった。PTCから予後不良形質である亜型での解析に展開できていて、順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
現時点で、解析に必要な甲状腺がん組織試料は全て入手可能で、解析に必要な技術は確立している。同じがん組織の中でも中央部と浸潤部でその組織形態は均質でなく、LOP/LCC形質とEMT形質関連因子の発現は、組織形態によって違いのあることが判明している。浸潤部にLOP/LCCパターンを示すPTC、通常型PTC、濾胞亜型PTC、濾胞がん、PDTC、ATCの病理組織を対象に、乳頭状・濾胞状・LOP/LCC(微小乳頭状やHobnail、小胞巣状、充血性、孤在性)・STI・紡錘形パターンという、がん組織が示す形態要素ごとに、細胞間接着と極性とEMTの観点から明らかにする。今後も、細胞間接着因子としてβ-catenin、E-cadherin、Tight junctionを形成し細胞極性に関与するClaudin 1, ZO-1、JAM-A、Occludin、Afadin、EMT関連因子としてVimentin、CK8/18の発現パターンを、多重蛍光免疫染色により明らかにしていく。さらにこれらの亜型と独自で設定した甲状腺がん関連遺伝子パネルによる分子異常の特徴を解析する。
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