研究課題/領域番号 |
23K06481
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49030:実験病理学関連
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
河本 新平 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (40612081)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 細胞老化 / 皮膚 / 老化 / 皮膚細菌 / 皮膚老化 |
研究開始時の研究の概要 |
老化を促進する危険性を有する老化細胞は加齢とともに蓄積するものの、その蓄積機構は明らかとなっていない。本研究は皮膚に着目し、皮膚創傷にともなう老化細胞蓄積機構を明らかにすることを目的とする。皮膚創傷モデルを用いて、皮膚線維芽細胞の細胞老化誘導過程を検討し、その過程における皮膚細菌の影響を明らかにする。さらに、皮膚に老化細胞が蓄積することで皮膚機能にどのような影響をあたえるのかを明らかにする。
|
研究実績の概要 |
細胞老化は癌抑制機構の一つとして働く一方で、細胞老化を起こした細胞(老化細胞)は加齢とともに組織内に蓄積し老化を促進する機能を有することが知られる。しかし、どのような機構で加齢に伴い体内に老化細胞が蓄積するのか明らかとなっていない。我々は、老齢マウスの網羅的な解析から組織の中でも特に皮膚に老化細胞が蓄積していることを見出した。そこで、今年度は、皮膚における老化細胞の細胞種の特定とその老化誘導機構の解明を試みた。若齢及び老齢マウスの皮膚から細胞を単離し、single cell RNA発現解析を行い老化細胞のマーカーであるCdkn2aの発現を確認したところ、ある特定の細胞種においてCdkn2aの発現が上昇していることが確認された。特定した細胞は、皮膚の創傷治癒過程においても重要な役割を果たすことが知られるため、皮膚創傷後の創傷部から細胞を単離し、single cell RNA発現解析を行った。その結果、特定した細胞種が創傷治癒過程においてCdkn2aを発現し、細胞老化を誘導している可能性が示唆された。興味深いことに、遺伝子発現レベルで細胞老化を起こした細胞と起こしていない細胞で変化が認められ、細胞老化が誘導されることによって細胞の機能変化が生じている可能性が見出された。一方で、皮膚に存在する皮膚細菌叢の細胞老化誘導能を検討するためのin vivo実験系の構築を行い、いくつか細胞老化誘導能をもつ皮膚細菌の特定に成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
皮膚において細胞老化を誘導する細胞種とその機能変化を明らかにすることができた。また、細胞老化誘導能を持つ皮膚細菌を探索する系の構築に成功した。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度に行ったsingle cell RNA発現解析のデータ解析を進めることで、加齢及び創傷治癒における細胞の遺伝子発現レベルの変化を詳細に解析することで細胞老化誘導機構を行う。また、特定した細胞のfate mappingマウスを作成しているので、生体における加齢及び創傷治癒の過程における細胞の変化を組織学的に解析するとともに、細胞を単離して遺伝子発現解析を行うことで遺伝子発現変化を明らかにする。 昨年度構築した皮膚の細胞老化誘導能を持つ in vivo探索系を用いて、細胞老化誘導能をもつ皮膚細菌を探索する予定である。皮膚細菌の中には、株間で宿主に与える影響が大きく異なることが知られる。実際に、S. aureusの強毒株は、通常株に比べ宿主に重度の炎症反応を誘導することが報告されている。従って、皮膚細菌の株間の炎症誘導能の差に着目し、株間において細胞老化誘導能に差があるのか検討する。また、実際に、加齢及び創傷治癒過程における皮膚細菌叢の変化を同一個体のマウスの変化を追跡調査することで詳細に解析し、細胞老化誘導能をもつ候補菌の特定を進める
|