研究課題/領域番号 |
23K06511
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49030:実験病理学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
成島 聖子 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 上級研究員 (80578336)
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研究分担者 |
須田 亙 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, チームリーダー (20590847)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 腸内細菌 / 胆汁酸 / ノトバイオートマウス |
研究開始時の研究の概要 |
肝臓で生成・分泌される胆汁酸は脂質の消化吸収に必須であるだけでなく、宿主細胞に発現する受容体などに作用するシグナル分子としての重要性も明らかにされている。腸内細菌は腸管内で胆汁酸を様々な形に変換し、二次胆汁酸と呼ばれる多様な分子種を生成するが、胆汁酸変換を担う腸内細菌そのものについての解析はまだ不十分で、菌の相互作用については殆ど理解が進んでいない。本研究では、複数の菌種の協調による胆汁酸変換に焦点を当て、菌叢の解析や菌の分離を行い、新しい胆汁酸分子生成の可能性を探索する。また、生成された分子種が宿主に与える影響について系統的に解析する。
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研究実績の概要 |
肝臓より分泌される胆汁酸は脂質の消化吸収に必須であるだけではなく、シグナル分子としての重要性も次々に明らかにされている。腸内細菌が既知の胆汁酸変換に加え、胆汁酸とアミノ酸などの生体化合物との結合にも深く関与していることが報告され、胆汁酸と腸内細菌の関わりについての研究は新しい局面を迎えている。しかしながら複雑に構成された腸内菌叢として胆汁酸変換が行われる際の菌の相互作用については殆ど理解が進んでいない。そこで特徴的な胆汁酸組成を形成する菌叢から菌の分離を行い、特に複数の菌種の協調による胆汁酸変換に焦点を当て、新しい胆汁酸の生成の可能性を探索することを目的とし、まず健常ボランティアの菌叢の16SrRNA解析と同時に便中胆汁酸解析を行い、特徴的な胆汁酸組成を示すサンプルから菌の培養・分離を行なった。分離された菌について、肝臓で生成される一次胆汁酸、最近便中にその存在が確認された脂肪酸・胆汁酸エステルを含めた種々の二次胆汁酸、および代謝経路に関わると仮定した中間産物をそれぞれ添加した培地中で培養を行い、どの菌が、個々の胆汁酸分子種をどの方向に変換するか、の検証を開始した。一つの胆汁酸分子種に対して、菌株によって変換の有無およびその方向性が異なっていることが改めて確認され、腸内で菌叢として働く場合には、これらの相互作用により非常に複雑な反応が行われていることが示唆された。さらにマウス腸内由来の特定の菌群を投与したノトバイオートマウスにおいて、デオキシコール酸が腸内で生成されていることを確認し、これまで報告のない菌あるいは菌の組み合わせによるデオキシコール酸産生の可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
健常ヒトの便より幅広い菌を分離し、それぞれの菌について、まず単独での胆汁酸変換能を確認できた。 さらにマウス腸内由来の菌についてこれまで報告されていない菌あるいは菌の組み合わせでのデオキシコール酸産生の可能性が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き特徴的な胆汁酸組成を示すヒトやマウスの腸内容物および便から菌を分離し、in vitroで胆汁酸の変換における基質となる胆汁酸を添加した培地で培養後に培地中の胆汁酸を解析するとともに、無菌マウスを用いたin vivoでの胆汁酸変換の検証を行う。
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