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遺伝学的スクリーニングによるPAK1阻害の効果を増強する因子の探索

研究課題

研究課題/領域番号 23K06512
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分49030:実験病理学関連
研究機関千葉県がんセンター(研究所)

研究代表者

若林 雄一  千葉県がんセンター(研究所), がんゲノムセンター 実験動物研究部, 部長 (40303119)

研究分担者 奥村 和弘  千葉県がんセンター(研究所), がんゲノムセンター 実験動物研究部, 研究員 (80584680)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
キーワードPak1 / DMBA / TPA / 皮膚扁平上皮がん / 化学発がん / j樹状細胞 / 阻害剤 / 扁平上皮がん
研究開始時の研究の概要

Pak1は、従来、上皮系細胞でがん遺伝子的に機能するとされてきたが、樹状細胞にも強く発現することがわかった。樹状細胞特異的にPak1をノックアウトし、DMBA/TPA多段階皮膚化学発がん実験を行ったところ、良性腫瘍および悪性化率の著明な減少が確認された。そこで、このPak1欠損による発がん抵抗性を増強する新規因子を遺伝学的スクリーニングにより探索することを第一の目的とする。また、既知の因子の候補としてPak1と同様に樹状細胞やT細胞を介した抗腫瘍免疫を活性化する免疫チェックポイント阻害剤があげられる。そこでPAK1阻害剤と免疫チェックポイント阻害剤との併用療法のテストを第二の目的として行う。

研究実績の概要

Pak1はセリン・スレオニンキナーゼファミリーの一員であり、幅広いプロセスに関与するRho GTPasesRAC1およびCDC42の相互作用因子である。従来、上皮系細胞でがん遺伝子的に機能するとされてきたが、意外にも皮膚の樹状細胞のひとつであるランゲルハンス細胞に強く局在し、ノックアウトマウスの皮膚ではランゲルハンス細胞においてT細胞の共刺激分子CD28と結合するCD80/CD86の上昇、即ち、ランゲルハンス細胞の活性化が見られた。また、ノックアウトマウスを用いてDMBA/TPAによる多段階皮膚化学発がん実験を行ったところ、皮膚腫瘍の形成が著明に減少した。さらに、樹状細胞特異的なPak1コンディショナルKO(cKO)マウスを樹立し、同様に皮膚発がん実験を行ったところ、cKOマウスの良性腫瘍パピローマおよび悪性化率の著明な減少と腫瘍内のCD8陽性細胞の集積やインターフェロンγ発現量の有意な上昇が確認された。以上のデータはPak1は腫瘍細胞における増殖促進シグナル伝達だけでなく、樹状細胞を介した抗腫瘍免疫の活性化を誘導するための新規標的因子である可能性を示しているそこで、このPak1欠損による発がん抵抗性を増強する新規因子を遺伝学的スクリーニングにより探索することを目的とし、樹状細胞特異的Pak1KOアレルを持つ戻し交配マウスを作製した。さらに、皮膚がん感受性系統のFVBマウスにDMBA/TPAにより発がん誘導した腫瘍から独自に開発した皮下移植可能な扁平上皮がん由来のがん細胞株をFVBマウスに移植する皮下移植シンジェニックモデルを用いてPAK1阻害剤の腫瘍増殖抑制効果についてテストを行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

FVB/Nマウスを遺伝的背景として作製したPak1flox/flox(Pak1flox)マウスを、C57BL/6Jマウスを遺伝的背景とするCd11cCreマウスとを交配して得られたF1マウスとFVB/N(Pak1flox/flox)マウスとを交配してN2戻し交配個体を作製し、DMBA/TPAを用いた皮膚発がん実験を行った。既にfloxヘテロ個体、floxホモ個体100頭以上の個体を用いて発がん実験がほぼ完了している。ヘテロ個体では腫瘍を全く発症しない個体から腫瘍を多く発症する個体まで表現型の分布が見られるが、ホモ個体は遺伝的背景にかかわらずすべての個体で腫瘍発生がまったく見られなかった。一方、皮下移植シンジェニックモデルを用いたPAK1阻害剤の腫瘍増殖抑制効果についてのテストではPAK1単独で強い増殖抑制効果が見られた。

今後の研究の推進方策

戻し交配個体の作製、DMBA/TPAを用いた発がん実験はほぼ完了したので、Pak1ヘテロの戻し交配個体を用いてゲノムワイドの遺伝子型決定に進めたい。皮下移植シンジェニックモデルを用いた移植実験は、樹状細胞でPak1を欠損したマウスに扁平上皮がん細胞を皮下移植して、樹状細胞でのPak1の機能について検討したい。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件)

  • [雑誌論文] Deletion of Pak1 in CD11c-Positive Cells Confers Resistance to Mouse Skin Carcinogenesis2024

    • 著者名/発表者名
      Okumura Kazuhiro、Morinaga Takao、Saito Megumi、Tokunaga Yurika、Otoyama Keisuke、Tanaka Sora、Isogai Eriko、Kawazu Masahito、Togashi Yosuke、Araki Kimi、Wakabayashi Yuichi
    • 雑誌名

      Journal of Investigative Dermatology

      巻: - 号: 8 ページ: 1890-1893.e5

    • DOI

      10.1016/j.jid.2024.01.021

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Meis1, a regulator of cortical development plays multiple roles in the malignant progression of brain tumors2023

    • 著者名/発表者名
      Isogai E, Okumura K, Saito M, Tokunaga Y, Wakabayashi Y.
    • 雑誌名

      Trends in Cancer Research

      巻: 17 ページ: 57-68

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] Pak1阻害剤はマウス皮膚腫瘍形成を抑制する2024

    • 著者名/発表者名
      若林雄一
    • 学会等名
      超異分野学会2024東京・関東大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 樹状細胞のp21(Cdc42/Rac1)-activated kinase1欠損は皮膚腫瘍形成を抑制する2023

    • 著者名/発表者名
      奥村和弘, 徳永夕莉香, 磯貝恵理子, 荒木喜美, 若林雄一
    • 学会等名
      第70回日本実験動物学会総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Pak1欠損は樹状細胞の活性化により抗腫瘍免疫を増強する2023

    • 著者名/発表者名
      奥村和弘, 盛永敬郎, 田中晴空, 音山敬祐, 徳永夕莉花, 斎藤慈,荒木喜美, 若林雄一
    • 学会等名
      第82回日本癌学会学術総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] DMBA/TPA誘導皮膚腫瘍を制御するSTMM遺伝子座の同定2023

    • 著者名/発表者名
      若林雄一, 奥村和弘, 斎藤慈, 徳永夕莉花, 音山敬祐, 田中晴空
    • 学会等名
      第82回日本癌学会学術総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] MSM マウスから同定した発がん修飾遺伝子Pak1 の機能解析2023

    • 著者名/発表者名
      奥村和弘
    • 学会等名
      第33回モロシヌス研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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