研究課題/領域番号 |
23K06513
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49030:実験病理学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
北島 雅之 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 上級研究員 (00401000)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | T細胞 / アレルギー性皮膚炎 / Themis |
研究開始時の研究の概要 |
T細胞が抗原(アレルゲン)を認識することで、アレルギー性炎症応答が開始される。T細胞のみに限局して発現する分子Themisは胸腺T細胞分化を制御することは知られているものの、末梢T細胞におけるThemisの役割は十分に解明されていない。本研究では、Themisの末梢T細胞内での役割、およびアレルギー性皮膚炎の制御メカニズムを理解し、アレルギー性疾患根治治療法の開発に向けた研究基盤を確立することを目的とする。具体的には①アレルギー性皮膚炎におけるThemisの役割の解析、②試験管内T細胞活性化におけるThemisの役割の解析、③病態制御に向けたThemisの機能解析の3点について研究を実施する。
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研究実績の概要 |
免疫系の司令塔であるT細胞のT細胞受容体(TCR)が抗原(アレルゲン)を認識し、活性化することで、アレルギー性炎症応答が惹起される。したがってTCR刺激から始まるT細胞活性化機構を理解することは、アレルギー病態の制御に向けた基礎研究として重要である。我々の研究室では、T細胞のみに限局して発現する分子Themisが、TCR刺激を促進することで胸腺T細胞の分化を制御することを報告してきた。一方、末梢T細胞およびアレルギー性皮膚炎におけるThemisの役割は十分に解明されていない。 本課題を開始した令和5年度では、本研究室で作製したThemisコンディショナル欠損(cKO)マウスを用いて、アレルギー性皮膚炎におけるThemisの役割の解析を行った。その結果、Themis cKOマウスでは、CD8T細胞に依存する皮膚炎では、皮膚の肥厚、炎症局所への浸潤CD8T細胞の数と、炎症の中心となるサイトカインIFNγ量が減少することを見いだした。一方、CD4T細胞に依存する皮膚炎では、皮膚の肥厚、炎症局所への浸潤CD4T細胞の数に有意な差は認められなかった。また試験管内の解析において、Themis cKO ナイーブCD8T細胞は、TCR刺激による細胞増殖、IFNγ産生の低下が観察されたが、ナイーブCD4T細胞では、細胞増殖、IL-2産生に有意な差が認められなかった。まとめると、Themisは、CD8T細胞のTCR刺激による活性化を促進しているが、CD4T細胞ではTCR刺激による活性化に重要ではない可能性を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度は、Themisコンディショナル欠損(cKO)マウスを用いて、①アレルギー性皮膚炎および、②試験管内でのTCR刺激反応におけるThemisの役割の解析をおこなった。その結果、①Themis cKOマウスでは、CD8T細胞に依存する皮膚炎では、皮膚の肥厚、炎症局所への浸潤CD8T細胞の数と、炎症の中心となるサイトカインIFNγ量が減少する一方、CD4T細胞に依存する皮膚炎では、皮膚の肥厚、炎症局所への浸潤CD4T細胞の数に有意な差は観察されなかった。②試験管内の解析において、Themis cKO CD8T細胞は、TCR刺激による細胞増殖、IFNγ産生の低下が観察されたが、CD4T細胞では、細胞増殖、IL-2産生に有意な差が観察されなかった。解析項目がまだ十分ではないものの、2種類のアレルギー性皮膚炎、試験管内のTCR応答の解析がワークすることが確認できたことから、おおむね順調に研究が進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、Themisコンディショナル欠損(cKO)マウスを用いて、アレルギー性皮膚炎および、試験管内でのTCR刺激応答におけるThemisの役割の解析をおこなった。その結果、Themisは、CD8T細胞のTCR刺激による活性化を促進しているが、CD4T細胞ではTCR刺激による活性化に重要ではないことを示唆している可能性を得た。Themisの機能の証明にはさらなる根拠が必要であり、今後は活性化マーカー、転写因子、TCRシグナル等の違いの確認を進めるとともに、準備しているThemis変異マウスも用いて、Themisの機能の解析・解明をすすめる予定である。
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