研究課題/領域番号 |
23K06517
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49040:寄生虫学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
都田 真奈 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 教授 (30398151)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | マラリア / 免疫 / メトホルミン |
研究開始時の研究の概要 |
マラリアは、終生免疫が得られにくい。その原因の一つとしてマラリア原虫が赤血球に寄生するために抗体や細胞傷害性細胞の標的になりにくいことが挙げられる。我々は、これまでに、代謝調節機能を有する薬剤メトホルミンをマウスに投与すると感染早期からMHCクラスⅠ陽性の原虫感染赤血球系細胞が出現することを発見した。これらのことから、メトホルミンは、感染赤血球を細胞傷害性T細胞の標的になりやすい状態へ変化させることが予想された。本研究では、メトホルミン投与マウスでのMHCクラスⅠ陽性赤血球系細胞の出現メカニズム、その細胞の特性、さらにCD8+T細胞の傷害標的となりやすいのかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
マラリアの免疫抑制の原因は未だに不明点も多く、免疫疲弊解除、免疫抑制解除、免疫賦活を基盤とした治療薬やワクチンの研究は重要課題である。我々が着目しているメトホルミンは糖尿病治療薬でありながら免疫反応の調節機能があることが報告されており、免疫調節を基盤としたマラリア感染防御が期待できる。メトホルミンのマラリア感染防御効果はT細胞依存的であるため、本研究では「メトホルミンが赤血球に作用することで、マラリア原虫感染赤血球はCD8+T細胞の傷害標的となりやすく、その結果、原虫排除が促進される」と仮説を立て、これを検証する。我々は、マウスマラリアモデルを用いて、メトホルミン投与により、MHC クラス I+感染赤血球系細胞が感染早期に出現することを明らかにしているため、この細胞が標的になりやすいと考えている。特にMHC クラス Ⅰ+細胞はその半数がCD71陰性の未知の細胞であることから、2023年度は、メトホルミンが造血組織である骨髄や脾臓において、CD71-MHC クラス I+赤血球系細胞の分化・成熟を引き起こす可能性を調べた。メトホルミン投与しても骨髄、脾臓において、CD71-MHC クラス I+赤血球系細胞は出現しなかった。このことから、メトホルミン投与が、CD71-MHC クラス I+赤血球系細胞の分化誘導に促進的に働いているわけではないことがわかった。さらに、いずれの造血組織においても、感染赤血球系細胞のみがCD71-MHC クラス I+フェノタイプを示したことから、赤血球系細胞に原虫が感染した後に、CD71-MHC クラス I+フェノタイプへ変化することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の補助者が急遽1年間休んだため、研究を計画通りに遂行できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
メトホルミンがMHC クラス I+赤血球系細胞の成熟や分化を促進するのか、CD71-MHC クラス I+細胞はどのような細胞であるか、また、メトホルミンによりこの細胞の免疫学的特性は影響を受けるのか明らかする。さらに、メトホルミンが赤血球系細胞の代謝やシグナル伝達を調節するのか明らかにする。
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