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新規化合物とミトコンドリア標的型ナノカプセルを用いた包虫症の新治療法の基盤的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K06519
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分49040:寄生虫学関連
研究機関帝京大学

研究代表者

遠海 重裕  帝京大学, 医学部, 講師 (40796257)

研究分担者 三牧 正和  帝京大学, 医学部, 教授 (40392419)
孝口 裕一  北海道立衛生研究所, その他部局等, 主幹 (50435567)
八木 欣平  北海道大学, 獣医学研究院, 客員研究員 (70414323)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
キーワード創薬 / エキノコックス / 人獣共通感染症 / ミトコンドリア / 寄生虫 / アスコフラノン
研究開始時の研究の概要

エキノコックス症は本邦に常在する難治性寄生虫疾患である。感染すると多数の嚢胞を肝臓で形成し死に至らしめる。アルベンダゾール内服を必要とするがその殺滅力は弱く、新規治療アプローチが必要である。我々グループは本虫体のミトコンドリア呼吸鎖を標的とした複数の有効薬剤を見出してきた。他方でこれらの薬剤を効率よく嚢胞に浸透させ、ミトコンドリア内膜を通過し活性を保った状態で薬剤標的に送達させることが課題である。本研究では第一にこの嚢胞を覆い薬剤浸透を妨げているラミネート層の脆弱化、第二に新技術のミトコンドリア標的型ナノカプセルに化合物を内包させ、呼吸鎖に能動的送達を可能にする新規化学療法の基盤研究を行う。

研究実績の概要

エキノコックス症(多包虫症)は本邦でも北海道で流行している致死性の寄生虫疾患である。アルベンダゾールが化学療法の第一選択薬であるが殺滅にはいたらず、効果は限定的である。これは手術で本寄生虫の嚢胞が完全に切除できない場合は完治が困難になることを意味している。我々の申請した研究計画は①ミトコンドリア標的型ナノカプセルに有効な薬剤を内包させ、エキノコックス症の治療に応用できるか確認すること ②エキノコックスの嚢胞を覆うラミネート膜を脆弱化させ、薬剤送達をスムーズにするため、候補化合物(2フコース、6フコース)の効果を確認するの2点である。本年度は②について研究の進捗がみられた。 まず、エキノコックス嚢胞から細胞を単離することに難渋したが既存の方法に改良を加えることで実験を行える細胞が得られた。次に細胞内にフコースが存在することをフコースと7フコース、そしてビオチン結合反応を利用した蛍光染色で描出させ、実際に2,6フコースを細胞に添加することで発色が消失することを確認するに至った。このことより、2フコース、6フコースは糖鎖合成の過程においてフコース合成を阻害する可能性が示唆された。最後に実際にシスト培地に同薬剤を加えることでシストの形態に異常が生じないか観察した。電子顕微鏡でシスト表面を確認したところ膜表面に隆起等の形態的な異常を認め、断面の組織像でも生殖細胞層とラミネート膜の間に空胞が充満など変化が確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

エキノコックスの嚢胞表面を包むラミネート膜が薬剤や免疫細胞の浸透を妨げており、この膜を脆弱化させる必要がある。研究計画書にはミトコンドリア機能を阻害する薬剤開発と同時に本課題についても目的としており、膜に存在するフコースの細胞局在とその合成阻による細胞の構造の破壊を確認した。1)エキノコックス嚢胞をトリプシン処理し、既存の方法を改良することで細胞の単離し腫瘍細胞のようなCell lineの構築を試みた。細胞質・核染色を行うことで細胞の単理を確認できたが、腫瘍細胞のように増殖力は強くなく細胞の回収には難渋した。2)前述の細胞をを利用して細胞のフコースの存在を蛍光顕微鏡とビオチン標識を利用したclick it cell reaction染色を行なった。これにより細胞内のビオチンの存在を確認し、癌細胞で効果が報告されているフコース合成阻害剤である2-フコース及び6-フコースを細胞培地に添加してビオチンの発色をみた。期待通り、阻害剤により発色は抑制されたことからこの2つのフコース阻害剤はエキノコックスでも有効である可能性が示唆せれた。3)最後に2-フコース及び6-フコースをエキノコックスシストの培地に実際に添加した。電子顕微鏡ではシスト表面の構造変化が確認できた。これが薬剤透過性の亢進に寄与するかは今後の検討が必要である。

今後の研究の推進方策

研究課題に記載した「ミトコンドリア内膜に特異的に薬剤を送達できるナノカプセルに化合物を内包し、能動的な薬剤送達による寄生虫の殺滅」を実施したい。薬剤候補はすでに選択されており、研究協力者と方法を検討しながら薬剤効果を評価したい。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] E.multilocularis嚢胞からのgerminal cellsの単離とフコシル化阻害剤による虫体破壊の試み2023

    • 著者名/発表者名
      小谷野 智仁
    • 学会等名
      蠕虫研究会2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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