研究課題/領域番号 |
23K06529
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49050:細菌学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松田 重輝 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (30506499)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 腸炎ビブリオ / Ⅲ型分泌装置 / ビブリオ |
研究開始時の研究の概要 |
細菌のⅢ型分泌装置は真核細胞にエフェクター分子を注入するタンパク質分泌装置として、細菌にとって宿主との相互作用の重要な機能ツールとなっている。本研究では水圏環境における代表的な細菌群であるビブリオの複数種で保有されるⅢ型分泌装置について細胞外構造に着目し、その機能性を発現する分子メカニズム、およびその生理的意義を解明することを目的とする。
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研究実績の概要 |
細菌のⅢ型分泌装置は宿主真核細胞にエフェクター分子を注入する分泌装置として、細菌にとって真核生物との相互作用に重要なツールとなっている。本研究では水圏環境における代表的な細菌群であるビブリオにおいて複数種で保有されているⅢ型分泌装置の機能性に着目し、その発現の分子メカニズム、および生理的意義を理解することを目指している。 ビブリオ属細菌の中でも、細菌性食中毒の重要な原因菌としてヒト病原性ビブリオの代表的な存在である腸炎ビブリオをモデルとして、本年度はそのⅢ型分泌装置の機能性に関わると考えられる新たな因子を同定した。この因子は腸炎ビブリオの病原性アイランド領域内に存在する遺伝子にコードされており、機能既知のタンパク質との配列類似性を有さないものの、その遺伝子配置や保存性、発現プロファイルなどからⅢ型分泌装置の機能性との関連が示唆された。当該因子の遺伝子欠失株および遺伝子相補株を用いてⅢ型分泌装置関連因子の発現解析、培養細胞および実験動物への感染実験を行い、この因子が腸炎ビブリオのⅢ型分泌装置の病原性機能の発揮に重要となることを明らかにした。また腸炎ビブリオのⅢ型分泌装置の二機能性を短時間で簡便に評価できるアッセイ系を確立し、より多検体の解析が可能となった。一方でⅢ型分泌装置の発現制御機構について、その転写制御因子の自己遺伝子発現活性化を見出し、この作用が転写制御因子およびⅢ型分泌装置関連遺伝子の発現を増幅することで腸炎ビブリオの病原性機能の発揮に重要となることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は腸炎ビブリオのⅢ型分泌装置の毒性機能に関わる新たな因子を同定することができ、その機能的重要性を明らかにしたこと、二機能性の評価基盤となるアッセイ系の構築・最適化を行うことができたこと、Ⅲ型分泌装置遺伝子発現の増幅機構を明らかにして論文として発表したことから、本研究は総合的におおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
ビブリオのⅢ型分泌装置の機能性について、次年度も腸炎ビブリオをモデルとして解析を進める。本年度研究により同定されたⅢ型分泌装置関連因子の機能解析、二機能性に関わる遺伝子のスクリーニング、機能性発現に関わる制御機構の解析を行い、ビブリオのⅢ型分泌装置の機能性の理解を推進する。
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