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白癬菌特異的プロテインキナーゼの生理活性の解析とそれを標的とした創薬基盤構築

研究課題

研究課題/領域番号 23K06533
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分49050:細菌学関連
研究機関武蔵野大学

研究代表者

石井 雅樹  武蔵野大学, 薬学部, 助教 (10786966)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
キーワード白癬菌 / プロテインキナーゼ / リン酸化 / 併用効果 / プロトンポンプ / テルビナフィン / 菌糸成長 / 遺伝子欠損 / 遺伝学 / 生化学 / 医真菌学
研究開始時の研究の概要

白癬菌は、水虫を引き起こすカビで、ヒト表在組織に適応することで、世界人口の1割以上に感染しています。健常なヒト表在組織に感染する白癬菌の環境適応機構は異質なものです。本研究課題では、白癬菌の機能未知プロテインキナーゼの機能解析を起点に、白癬菌のユニークな環境適応の分子機構を解明し、白癬菌がどのようにヒト表在組織に適応するかを解明します。さらに、低分子化合物による阻害剤開発が比較的容易というプロテインキナーゼを標的とした治療法開発基盤の確立を目指します。

研究実績の概要

白癬菌は、水虫を引き起こすカビで、ヒト表在組織に適応することで、世界人口の1割以上に感染しています。健常なヒト表在組織に感染する白癬菌の環境適応機構は異質なものです。本研究課題では、白癬菌の機能未知プロテインキナーゼの機能解析を起点に、白癬菌のユニークな環境適応の分子機構を解明し、白癬菌がどのようにヒト表在組織に適応するかの解明を目指します。さらに、低分子化合物による阻害剤開発が比較的容易というプロテインキナーゼを標的とした治療法開発基盤の確立を目指します。これまでに白癬菌の機能未知プロテインキナーゼを欠失した株を5つ作出し、それらを含むプロテインキナーゼの機能解析を目指し研究を進めています。これまでに遺伝子を欠失させることで特に増殖が遅くなったOSK1タンパク質についてTetON発現系を用いた条件発現株の作出をおこないました。得られた株は、発現抑制状態では菌糸成長が抑制されていた一方で、発現を促進する環境では増殖が回復していました。さらにこのプロテインキナーゼはHAタグを融合させてあり、タンパク質が細胞内に局在していることを抗体を用いて検出することに成功しました。また、欠損によりテルビナフィンに感受性になるプロテインキナーゼは、系統樹解析および表現系解析を基に出芽酵母のPtk2タンパク質の相同因子であると推測され、実際、出芽酵母のPtk2欠損株もテルビナフィン感受性が観察されました。Ptk2はプロトンポンプPma1の活性を正に制御していることが酵母で報告されていたため、プトトンポンプをPtk2欠損白癬菌に過剰発現させたところテルビナフィンに対する耐性が回復しました。Ptk2-Pma1経路の阻害がテルビナフィン耐性を抑制すると考え、プロトンポンプ阻害剤オメプラゾールとテルビナフィンを併用したところ、テルビナフィン感受性および耐性白癬菌に対し単剤より高い効果が確認されました。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

① 白癬菌特異的プロテインキナーゼ(PK)欠損株のライブラリー作製とその生理的機能の解明については、欠損して増殖が遅くなったOSK1の条件発現株の作出に成功し、表現系の確認を進めることができた。プロテインキナーゼ欠損株ライブラリーの作製については順次行なっているが、Trichophyton rubrumのゲノムアノテーション精度が低いため、いくつかのタンパク質で開始コドンや終始コドンの位置が間違っている。また、そもそもorfが予測できていない遺伝子も存在している。そのため、正確な機能未知プロテインキナーゼの数と1次構造を得るため、再解析が必要になる可能性がある。② 白癬菌特異的PKが構築するタンパク質リン酸化ネットワーク解析については、表現系の見られたOSK1およびPtk2の細胞内局在の情報が順調に集まったほか、基質候補分子との遺伝学的な相互作用解析も行うことができた。③ 白癬菌特異的PKを標的とした創薬基盤構築については、大腸菌で発現させたOSK1タンパク質のプロテインキナーゼ活性の測定を目指したが、今のところ活性は捉えられていない。上記のとおり、研究計画にあった3点について概ね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

今後は、①については、プロテインキナーゼ欠損株ライブラリーの構築を引き続き行う。ただし、本年度行なっている中で、ライブラリーの作製に必要なorf情報についてin silicoでの再解析が必要になると判断しているため、その点を検討する。また、得られている欠損株の表現系解析は継続して続ける。②については、表現系のあったプロテインキナーゼについて相互作用因子やリン酸化基質の同定を目指す。また、キナーゼ活性の表現系への必要性を検討するため、点変異体を作出し、親株と表現系を比較する。③については、大腸菌での発現させる際にキナーゼ活性が失われているかを検討するため、点変異型キナーゼを作出し自己リン酸化が抑制されるか検討する。また、別の宿主を使った組み換え発現や、白癬菌にHAタグなどを付与したOSK1を過剰発現させ、キナーゼ活性を有するかを検討する。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (15件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (10件) 備考 (2件)

  • [国際共同研究] Centre Hospitalier Universitaire Vaudois/University of Lausanne(スイス)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] The Ptk2-Pma1 pathway enhances tolerance to terbinafine in Trichophyton rubrum2024

    • 著者名/発表者名
      Ishii Masaki、Yamada Tsuyoshi、Ishikawa Kazuki、Ichinose Koji、Monod Michel、Ohata Shinya
    • 雑誌名

      Antimicrobial Agents and Chemotherapy

      巻: 68 号: 5

    • DOI

      10.1128/aac.01609-23

    • URL

      https://pure.teikyo.jp/en/publications/4d55d78a-2db0-4f5a-9e27-3ea0030ed449

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] TrCla4 promotes actin polymerization at the hyphal tip and mycelial growth in Trichophyton rubrum2023

    • 著者名/発表者名
      Ishii Masaki、Matsumoto Yasuhiko、Yamada Tsuyoshi、Uga Hideko、Katada Toshiaki、Ohata Shinya
    • 雑誌名

      Microbiology Spectrum

      巻: 11 号: 6

    • DOI

      10.1128/spectrum.02923-23

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 発がん性NF-κBシグナルを阻害する真菌代謝物の探索と作用機序の解明2024

    • 著者名/発表者名
      大畑慎也, 石川和樹, 石井雅樹, 矢口貴志, 市瀬浩志
    • 学会等名
      日本薬学会第144年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] アンメットメディカルニーズ克服を目指した真菌二次代謝産物によるNF-κBシグナル阻害物質の探索2024

    • 著者名/発表者名
      石川 和樹, 神谷 菜緒, 大畑 慎也, 石井 雅樹, 矢口 貴志, 市瀬 浩志
    • 学会等名
      日本薬学会第144年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Cryo-EM構造解析により明らかにするPPARgの核内輸送機構2024

    • 著者名/発表者名
      藤間 祥子, 中村 雄太郎, 川本 晃大, 寺谷 俊昭, 清水 光, 廣瀬 未果, 端山 浩輝, 小島瑠璃, 吉村奏美, 石井 雅樹, 大畑 慎也, 岩崎 憲治, 加藤 貴之, 上久保 裕生, 伊藤 俊将, 冨田 謙吾, 清水 敏之
    • 学会等名
      日本薬学会第144年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Targeting dermatophyte Cdc42 and Rac GTPase signaling pathway to hinder hyphal elongation and virulence2024

    • 著者名/発表者名
      Masaki Ishii, Yasuhiko Matsumoto, Tsuyoshi Yamada, Hideko Uga, Toshiaki Katada, Shinya Ohata
    • 学会等名
      Keystone symposia Fungal Pathogens: Emerging Threats and Future Challenges
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] アンメットメディカルニーズを満たす新薬創生プロジェクト2023

    • 著者名/発表者名
      大畑 慎也, 石川 和樹, 石井 雅樹, 矢口貴志, 市瀬浩志
    • 学会等名
      2023 日本細菌学会 関東支部 インターラボセミナー
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] カイコを用いた真菌感染症の病理組織学モデルの確立2023

    • 著者名/発表者名
      三上 雄大, 石井雅樹, 宮下惇嗣
    • 学会等名
      2023 日本細菌学会 関東支部 インターラボセミナー
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] トポイソメラーゼⅠ阻害は上衣腫のNF-κB活性化を抑制する2023

    • 著者名/発表者名
      中尾 英嘉, 石井 雅樹, 大畑 慎也
    • 学会等名
      2023 日本細菌学会 関東支部 インターラボセミナー
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 上衣腫治療薬の探索と作用機序解明2023

    • 著者名/発表者名
      大畑慎也, 中尾英嘉, 石井雅樹
    • 学会等名
      第20回生命科学研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 上衣腫の原因となるNF-κB活性化を阻害する医薬品の作用機序解明2023

    • 著者名/発表者名
      中尾 英嘉, 石井 雅樹, 大畑 慎也
    • 学会等名
      第67回日本薬学会関東支部大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Trichophyton rubrumのKu80欠損株を用いた高効率相同組み換え手法の確立及びcyp51a-3’-UTRのアゾール系抗真菌薬耐性への寄与の検討2023

    • 著者名/発表者名
      石井雅樹,山田剛,大畑慎也
    • 学会等名
      第42回関東医真菌懇話会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] 人に感染し水虫を引き起こす白癬菌の細胞形態制御機構の一部を解明し、新たな抗真菌薬の標的候補を同定

    • URL

      https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000193.000067788.html

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] 水虫治療薬に対する耐性真菌治療に向け新たな抗真菌療法を提案

    • URL

      https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000210.000067788.html

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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