研究課題/領域番号 |
23K06546
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49050:細菌学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
松尾 祐一 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 助教 (60802824)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 硫黄代謝 / エネルギー代謝 / 細菌学 |
研究開始時の研究の概要 |
結核菌はヒトの肺に長期間感染し、肺結核を発症する病原菌として広く知られている。結核菌は、肺での長期間の生存を可能とするが、どのようにして生存しているのかについては未だに明らかになっていない。近年、硫化水素により結核菌の増殖速度が上昇することが分かった。この研究では、硫化水素と反応する酵素である Sulfide quinone oxidoreductase (SQOR) に注目して研究を進めることで、硫化水素がどのようにして増殖に影響を与えているのか、および、ヒトへ感染する際にSQORがどのような役割を果たしているのかについて明らかにしたい。
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研究実績の概要 |
マクロファージは結核菌の宿主細胞であり、結核が感染することでマクロファージの硫化水素産生が亢進する。そして、結核菌自身は硫化水素産生能を有し、硫化水素は結核菌の増殖を促進する。つまり、マクロファージ内で結核菌は硫化水素をエネルギー代謝に利用すると考えられるが、代謝機構は明らかとなっていない。 本研究では、硫化水素を代謝する硫化水素キノン酸化還元酵素(SQOR)の研究を進めた。ヒトSQORは、硫化水素、キノン、および硫黄受容体を基質とするが、結核菌SQORは硫化水素とキノンを基質とし、硫黄受容体は必要としなかった。そして、酵素反応は典型的なミカエリス・メンテン式ではなく、Cooperativityな反応となった。つまり、結核菌SQORはこれまで報告がある硫黄受容体以外の因子が酵素反応に必要であることがわかった。さらに、構造生物学的解析により、結核菌SQORの補欠族分子であるフラビンアデニンジヌクレオチド結合部位と、キノン結合部位がわかった。そして、硫化水素と結核菌SQORの共結晶から、結核菌SQORの活性中心であるシステイン残基に硫黄原子が付加していることがわかった。つまり、結核菌SQORの反応機構は火山の噴火口に存在する超好熱菌に近いことが明らかとなった。 結核菌SQORの阻害剤を見出すために、阻害剤スクリーニング実験系を確立した。そして、構造がキノンに類似した化合物を用いて、結核菌SQORの阻害剤を探索した。その結果、4つの化合物を阻害剤として同定することができ、このうち3つはすでに抗結核作用を示すことが報告されていた。つまり、結核菌SQORは創薬における標的分子となる可能性があることが示唆された。既存の抗結核薬が効かない多剤耐性結核菌は公衆衛生上の課題となっており、新たな抗結核薬の開発が望まれており、本研究は創薬研究の基盤となることが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は計画通りに、結核菌SQORの結晶構造を明らかにすることができた。結核菌SQORのキノン結合部位、フラビンアデニンジヌクレオチド結合部位、および活性中心がわかったため、来年度に予定している変異体を用いた解析を行うことが可能となった。さらに、結核菌SQORの阻害剤を同定することができ、細胞を用いた解析を行うことが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
結核菌SQORの反応機構は、超好熱菌のSQORと類似しているが、活性中心に付加される硫黄原子から、フラビンアデニンジヌクレオチドを介して、キノンへと電子が受け渡されるメカニズムについては明らかとなっていない。今後は、変異体および阻害剤を用いて、結核菌SQORの反応機構を原子レベルで明らかにすることを計画している。また、同定した結核菌SQOR阻害剤の多くは、すでに抗結核作用をもつことが報告されているため、SQORの創薬標的分子としての可能性を遺伝学的手法により明らかにすることを計画している。
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