研究課題/領域番号 |
23K06557
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49060:ウイルス学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
尾野本 浩司 千葉大学, 真菌医学研究センター, 助教 (10612202)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ウイルス感染 / 自然免疫 / ストレス顆粒 / RNA相分離 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでに非膜性の細胞内構造体であるStress Granule (SG)などのRNA顆粒が、液-液相分離(RNA相分離)と呼ばれる現象により形成され、転写・翻訳・シグナル伝達誘導など様々な生理機能に関与していることが明らかとなり注目を集めている。しかし、ウイルスRNA誘導性のRNA相分離の詳しい形成機構や抗ウイルスシグナルにおける制御機構、個々のウイルスにおける生理機能などについては殆ど分かっていない。そのため非自己RNA誘導性のRNA相分離の理解が進めば、抗ウイルス自然免疫応答の解明及びRNA相分離を創薬の標的した新規抗ウイルス薬・予防薬の開発に繋がる可能性があると考えられる。
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研究実績の概要 |
近年、RNAとタンパク質の相互作用による『液-液相分離』(RNA相分離) 現象がストレス顆粒を含むRNA顆粒の形成機構であり、細胞の恒常性維持に重要な役割を担っていることが明らかにされつつある。そこで本研究計画では、抗ウイルス自然免疫応答におけるRNA相分離の形成機構及びその生理機構の解明を目的として解析を行っている。 本年度は、ウイルス由来の非自己RNA誘導性のRNA相分離内に局在する分子の生化学的な手法による単離・精製を行った。また並行してsiRNAライブリーを用いてRNA相分離の形成及び細胞室内ウイルスRNAセンサーであるRIG-I-Like Receptor (RLR)を介したIFNシグナルに関与する分子のスクリーニング解析を行った。その結果、これまでにRNA結合タンパク質や脱ユビキチンに関与する複数の分子がRNA相分離形成及びIFNシグナルに関与する新規分子として同定することが出来た。そこで次に、培養細胞を用いて標的分子の過剰発現及びsiRNAやCRISPR/Casを用いた遺伝子発現抑制実験を行い、ウイルス感染時のRNA相分離形成及び各種オルガネラとの相互作用を超解像顕微鏡を用いた蛍光免疫染色で、抗ウイルス応答への影響をWBやReal Time PCRなどでそれぞれ解析した。RNA相分離形成及びIFN産生への関与が確認できた分子については、その詳細な分子機構の解明を行った。さらにin vivoにおける機能を解析するためKOマウスを入手し、生体内での機能を解明するために解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ウイルス由来の非自己RNA誘導性のRNA相分離内に局在する分子を複数の分子を得ることが出来た。さらに標的候補分子群の中にはRNA相分離形成を制御する分子や抗ウイルス自然免疫応答に関与する分子を同定することが出来た。さらに標的分子のKOマウスを共同研究先から分与してもらうことができたため、今後は生体内における機能を解析していく予定である。またウイルスタンパク質による宿主細胞内のRNA相分離の阻害機構の解明についても、培養細胞を用いた解析によりRNA相分離阻害タンパク質を同定しつつあり現在その詳細な機能について解析を行っている。一方で、生化学的手法を用いたRNA相分離の単離・精製及びその網羅的解析については使用する細胞株及びウイルス種の選定に少々時間がかかっているが、条件が整い次第解析を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度までに行った解析を引き続き進める。特にこれまでに同定した2つの標的分子については既に論文化に向けた作業を進めており、来年度内での論文発表を目指す。またマウスを用いた解析については、ウイルス感染実験を行い、生体内のIFNなどのサイトカインやウイルス量の測定、免疫組織染色による各組織におけるRNA相分離形成の解析により標的分子の生理的機能を明らかにする。
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