研究課題/領域番号 |
23K06574
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49060:ウイルス学関連
|
研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
平井 悠哉 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (90710369)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | モノネガウイルス / ニャマニニウイルス / 封入体 / 生体分子凝縮体 / 液-液相分離 / 核 / ヌクレオプロテイン / ホスホプロテイン / RNP / クロマチン |
研究開始時の研究の概要 |
モノネガウイルスは非分節のマイナス鎖一本鎖RNAをゲノムにもつウイルスであり、感染細胞内に封入体(IB)とよばれる構造体を形成する。IBは、液-液相分離というメカニズムによって形成される生体分子凝縮体とよばれる構造体の一種である。しかし、細胞核内に形成されるIBの構造形成メカニズムの詳細、またその構造がIBの機能発現に与える影響に関してはほとんど明らかになっていない。本研究課題では、核にIBを形成させるニャマニニウイルスを取り上げ、IBを構成する主要なタンパク質であるN、P、LおよびRNAを用い、核内IBの構造形成メカニズムの詳細、およびその構造がIBの機能発現に与える影響の解明を目指す。
|
研究実績の概要 |
モノネガウイルスが細胞内に形成する封入体(IB)は液-液相分離によってその構造が形成される。細胞質に形成されるIBの形成メカニズムは徐々に明らかになりつつある一方、核内に形成されるIBの形成メカニズムはほとんど明らかになっていない。本研究課題では、核内にIBを形成するニャマニニウイルスに着目し、そのIBの形成メカニズムを明らかにすることで、核内に形成されるIBの普遍的な形成メカニズム、またIBの構造がその機能発現に与える影響の解明を目指す。 本年度は、培養細胞にタンパク質を発現させる実験系を用い、ニャマニニウイルスが形成する核内IBに含まれるウイルスタンパク質であるヌクレオプロテイン(N)およびホスホプロテイン(P)のIB形成能を解析した。まずNおよびP単独でのIB形成能の有無を明らかにした。次に、各種変異体を細胞内に発現させ、タンパク質のどの領域がIB形成に重要であるのかを解析した。その結果、Nとの共発現によりIB様構造を形成する能力を有する、Pのアミノ酸領域の特定に成功した。また、IB様構造とIBの機能発現との関連に関する知見も得た。一方、in vitroにおける液滴形成実験に必要なリコンビナントタンパク質の発現・精製のためのDNAコンストラクトも作製した。タンパク質発現・精製のための条件をいくつか検討したものの、現在のところ、実施予定の実験系に必要となる量のタンパク質精製には成功していない。引き続き、リコンビナントタンパク質の発現・精製の最適な条件を探索し、実際に必要となる量のタンパク質を精製する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に実施予定であった研究計画の一項目を予定通り完了できた一方、未達成の項目も存在する。研究計画実施に必要となるリコンビナントタンパク質の発現・精製に手間取っていることが、その理由である。一方、次年度以降に実施予定であった研究計画の条件検討も進めている。そのため、研究計画書通りの進捗には至っていないものの、研究計画全体としては順調に進んでいるため、おおむね順調に進展している、と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
前年度に未実施であった液滴形成実験を実施するため、引き続き必要となるリコンビナントタンパク質の発現・精製を行う。精製したリコンビナントタンパク質を用いて未実施であった液滴形成実験を行い、前年度に実施予定であった液滴形成条件の探索を行う。また、当初の研究計画通り、今後、1)核内IB様構造と相互作用するクロマチン関連タンパク質の同定、2)In vitro液滴および核内IB様構造形成に対するクロマチンの寄与の解析、3)明らかになったアミノ酸領域やクロマチン関連因子がRNPの転写に与える影響の解析、以上の3点を行う予定である。
|