研究課題/領域番号 |
23K06577
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49060:ウイルス学関連
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
佐々木 永太 国立感染症研究所, 治療薬・ワクチン開発研究センター, 主任研究官 (40762216)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | アジュバント / エムポックスウイルス / 天然痘 / ワクチン / マウス / サル痘 / ポックスウイルス |
研究開始時の研究の概要 |
サル痘は、1970年にザイールでヒトでの初めの感染が確認されたオルソポックスウイルス属のウイルス感染症である。本邦においては、天然痘用の生ワクチンがサル痘予防ワクチンとして承認されている。しかし、生ワクチンであることから、接種部位の激しい腫脹や、痛み、発熱といった副反応を高頻度で発症する。本研究では、感染免疫の抗原エピトープの知見に基づき、(1) オルソポックスウイルス属に幅広く交差し、かつ中和活性とCTLを誘導する組換えタンパク抗原をデザインし、 (2) それを最適なアジュバントを組み合わせることで、生ワクチンに代わる有効性と安全性の高い次世代ユニバーサル天然痘ワクチンの開発を目的とする。
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研究実績の概要 |
当該年度は、LC16m8の主要抗原6つの抗原をマウスに接種し、免疫原性を評価した。その結果、AS03やAddaVax等の既存アジュバントにおいてもいずれの抗原に対する顕著なIgG抗体価の上昇が認められた。一方で、LC15m8感染マウスでは、組み換え抗原で免疫したマウスと比較して、6つの抗原に対するIgG抗体産生量は低いことが判明した。この現象が、B細胞応答に起因するものであるのかを検証するため、脾臓やリンパ節のリンパ球を採取し、B細胞の解析を行なった。その結果、LC16m8感染マウスでは、6つの抗原に特異的に結合する抗体を持つB細胞自体がほとんど存在していないことが判明した。一方で、ワクシニアウイルスに対するprotectionは、LC16m8および抗原免疫マウスの両方で認められた。このことはLC16m8によって誘導される免疫は、LC16m8自体は非常に多くの抗原を発現することから、今回検証した主要な6つの抗原以外の抗原に対する免疫応答が主である可能性が示唆された。さらに、組み換え抗原とアジュバント で免疫したマウスのリンパ節のB細胞を解析し、抗原特異的に結合する抗体を持つB細胞を単離、培養し、それらの細胞から産生されるモノクローナル抗体の抗原に対する結合性をELISAで評価した。その結果、これらのB細胞はワクシニアウイルスの抗原のみならず、エムポックスウイルスの相同抗原に対しても結合性を示した。このことから、作成したワクチン抗原とアジュバントによって誘導される抗体は、エムポックスウイルスに対しても感染防御効果をもつ可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究によって、ウイルス中和に重要な組み換え抗原をアジュバントとともに免疫することでIgG抗体産生誘導が惹起されることが明らかになった。一方で、LC16m8感染では、これらの抗原に対する抗体産生、B細胞応答がほとんど惹起されていないことが明らかになった。このことは、LC16m8の抗原の多様性と、これらの抗原以外の抗原が主要なワクチン免疫応答となっていることが示唆された。感染防御試験に向けた基礎的なデータの取得をおおむね完了している。
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今後の研究の推進方策 |
組み換え抗原免疫マウスを用いて、抗体価、ウイルス中和価、感染モデルマウスを用いて、エムポックスウイルス等に対する感染防御効果を明らかにし、LC16m8との交叉防御性を検証することで、広域感染防御効果をアジュバント含有ワクチンによって付与できるのかを明らかにしていく予定である。
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