研究実績の概要 |
①PTPN22欠損 T細胞の機能解析: T細胞におけるPTPN22の機能を解析するために、T細胞特異的にPTPN22を欠損させたマウス(tcKO)を、PTPN22欠損マウスとCD4-Cre Tgを掛け合わせて作製した。PTPN22-tcKO由来のT細胞を抗CD3/CD28抗体で刺激し、産生されるサイトカインの解析を行った。T細胞が産生するサイトカインIL-2やIFN-gおよびケモカインCcl3, Ccl4などが増強していた。これはPTPN22がTCRシグナルを抑制していることを示唆している。 ②T細胞活性化におけるPTPN22の動態解析:T細胞の抗原刺激におけるTCRミクロクラスターの形成と種々の下流シグナル分子(Lck, ZAP70, SLP76, PKCq, などのリクルートを、これまで解析してきたのと同様に、抗原/MHCを含むプレイナー膜上でのT細胞活性化に伴う分子の動態をTIRF顕微鏡を用いたイメージング解析、とりわけここでは PTPN22, 変異PTPN22, Cskの解析を行った。PTPN22-GFP, PTPN22(R620W)-GFP, Csk-GFPの動態を解析すると、T細胞の抗原刺激に伴って、PTPN22はTCRミクロクラスターに集積するが、TCRミクロクラスターに集積することが既知の他の分子(TCR, ZAP70, SLP76)に比べてリクルートが遅いことが判明した。このことは、T細胞活性化のPTPN22を介する負のフィードバック抑制が遅れて制御されていることを示唆している。CskもTCRミクロクラスターに集積することがわかり、カイネティック解析からCskはPTPN22のように遅れてリクルートされず、これまでPTPN22がCskをリクルートすると考えられてきたが、逆にまずCakがTCR-MCに集積し、PTPN22をリクルートすると考えられた。
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