研究課題/領域番号 |
23K06594
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49070:免疫学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
須田 貴司 金沢大学, がん進展制御研究所, 教授 (70250090)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | マスト細胞 / インフラマソーム / カスパーゼ1 / ガスダーミンD / プログラム細胞死 |
研究開始時の研究の概要 |
マクロファージでは、病原体感染などの刺激で巨大蛋白複合体インフラマソームが形成され、そこで活性化された蛋白分解酵素カスパーゼ1がIL-1βやIL-18を成熟型に転換するとともに、細胞質蛋白質ガスダーミンD(GSDMD)を切断してパイロトーシスと呼ばれるネクローシス様の細胞死が誘導される。一方、GSDMDの発現が低いマスト細胞ではカスパーゼ1が活性化してもパイロトーシスは誘導されず、アポトーシスが誘導される。したがって、マスト細胞のインフラマソーム応答はマクロファージのそれとは大きく異なると考えられる。そこで本研究では、マスト細胞のインフラマソーム応答の特徴と役割を明らかにすることを目指す。
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研究実績の概要 |
マクロファージでは、活性化カスパーゼ1はIL-1βやIL-18を成熟型に転換するとともに、ガスダーミンD(GSDMD)を切断してパイロトーシスと呼ばれるネクローシス様のプログラム細胞死を誘導する。一方、マスト細胞や神経細胞はGSDMDの発現が低く、カスパーゼ1が活性化してもパイロトーシスは誘導されず、カスパーゼ3依存性のアポトーシスが誘導される。そこで本研究では、マスト細胞のインフラマソーム応答の特徴と役割を明らかにすることを目指す。本年度は以下の結果を得た。(1)先ず、骨髄由来マスト細胞におけるインフラマソーム関連遺伝子の発現をRT-PCR法で解析した。その結果、インフラマソー形成パターン認識受容体であるNLRP3、NLRP6およびAIM2、インフラマソーム共通の構成因子であるASC(Pycard)やカスパーゼ1のmRNAが腹腔マクロファージと同等のレベルで発現していることが判明した。(2)LPSで前処理した骨髄由来マスト細胞をNLRP3活性化因子であるニゲリシンおよびAIM2活性化因子であるpoly(dA:dT)のトランスフェクションで刺激し、細胞死とIL-1βの分泌を解析したところ、骨髄由来マスト細胞はニゲリシン刺激で細胞死とIL-1βの分泌が誘導されるものの、poly(dA:dT)のトランスフェクションではこれらの応答が誘導されないことが判明した。(3)野生型マウス、カスパーゼ1、およびガスダーミンD欠損マウスから骨髄由来マスト細胞を調製し、LPS+ニゲリシン刺激によるIL-1βの分泌を比較した。その結果、骨髄由来マスト細胞のLPS+ニゲリシン処理によるIL-1βの分泌にカスパーゼ1は必須であるが、ガスダーミンDは必要ないことが判明した。したがって、骨髄由来マスト細胞からのIL-1βの分泌にはガスダーミンD非依存性のメカニズムが働いていると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に沿って予定通りに研究が進行しているため。
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今後の研究の推進方策 |
(1)マスト細胞の二次的ネクローシスにおけるガスダーミンE(GSDME)の役割の検討:我々は以前、マスト細胞をLPS+ニゲリシン刺激すると、カスパーゼ1依存性にアポトーシスを引き起こすことを示した。一方近年、GSDMDのパラログであるGSDMEがカスパーゼ3により切断され、そのN末断片が細胞膜の孔を形成することで、二次的ネクローシスが促進されることが明らかにされた。また、我々は、マスト細胞がGSDMEを強く発現していることを見出している。そこで、siRNAあるいはshRNAでGSDMEをノックダウンしたマスト細胞をLPSおよびNLRP3アクチベーターで刺激し、アポトーシスに続いて誘導される二次的ネクローシスにGSDMEが寄与しているか検討する。(2)炎症性サイトカイン分泌におけるGSDMEの役割の検討: siRNAあるいはshRNAでGSDMEをノックダウンしたマスト細胞を用い、IL-1βの分泌にGSDMEが関与するか検討する。(3) インフラマソーム刺激によるエイコサノイド産生とその分子機構の検討マクロファージでは、インフラマソームの活性化によりプロスタグランジンE2やロイコトリエンB4などのエイコサノイドが産生されることが知られている。マスト細胞でもインフラマソームの活性化でこれらのエイコサノイドの産生が誘導されるか、ELISA法で検討する。エイコサノイドの産生が検出された場合は、ASC欠損マウス、カスパーゼ1欠損マウス、GSDMD欠損マウス由来のマスト細胞、およびGSDME siRNAを用い、これらの因子がエイコサノイドの産生に寄与しているか検討する。
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