研究課題/領域番号 |
23K06605
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
築山 忠維 北海道大学, 医学研究院, 助教 (20399819)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | Wnt / RNF43 / p53 / 多段階発がん / がん |
研究開始時の研究の概要 |
申請者らは幹細胞特異的ユビキチンリガーゼRNF43がWnt受容体の分解だけでなくp53の抑制にも関与する多機能タンパク質であることを同定し、発がんにおいてこの遺伝子の変異が果たす役割を、Wntシグナルを中心に解明してきた。しかし、RNF43遺伝子の変異が多段階発がん進行の過程に及ぼす包括的な影響の全貌はまだ明らかになっていない。 本研究課題では次の3つの研究テーマを実施する。 1.RNF43を介したWntシグナルからp53経路へのクロストークの分子機構の解明 2.Wntシグナルからp53経路への波及的調節が多段階発がんに及ぼす効果の検討 3.がん変異RNF43を分子標的とする新規がん治療法の開発
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研究実績の概要 |
研究計画に基づき、令和5年度はRNF43とp53の結合様式の詳細を検討した。その結果、RNF43上のp53結合部位を詳細に決定した。両者は、RNF43上のcanonical、noncanonical Wntシグナルの双方に影響を与えると考えられる部位とは異なる部位で結合していた。またその部位には新規に同定したエフェクターXも共結合していることも確認された。そこでp53結合部位を欠くRNF43変異体を作製してWntシグナルとp53下流に及ぼす影響について検討を行った。その結果、予想通りp53結合部位を欠くRNF43変異体はWntシグナルを抑制する能力は保持しているが、p53下流の活性化を抑制する能力を失っていることが確認された。この結果は、以前より我々が主張している”RNF43によるWntシグナルとp53下流の制御は別の分子メカニズムで行われている”という仮説を強く支持するものであった。 これらの2023年度に得られた結果を加味して、多段階発がんに必要とされる3ステップのうちRNF43の遺伝子変異がWntシグナルの異常活性化とp53下流の過剰抑制という2つのステップを同時に達成するという我々の提唱するモデルをさらに明確にし、複数の学会や研究会において発表した。またこれらの知見を総合的にまとめ、Wnt受容体の調節機構の破綻が発がんに及ぼす影響についてRNF43の遺伝子変異の種類により起こり得る結果の相違に着目した解説を、国際学術雑誌のWntシグナルの特集号において招待総説論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度は計画通りに研究が遂行でき、また想定していた結果も得られた。さらに学会発表や論文発表も行えたため、研究計画は順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後はRNF43のp53結合の有無により、どのような遺伝子発現の変化が起こるか次世代シークエンサーにて検討する。さらに RNF43のp53結合の有無により多段階発がんの進行についてどのような影響を及ぼすのか、オルガノイドやモデル生物、ヌードマウスへのがん細胞移植実験などにより多角的に機能的検討を行っていく。
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