研究課題/領域番号 |
23K06612
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
伊達 慶一 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 非常勤研究員 (30974860)
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研究分担者 |
豊岡 伸一 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (30397880)
諏澤 憲 岡山大学, 大学病院, 助教 (90839713)
山本 寛斉 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (40467733)
枝園 和彦 岡山大学, 大学病院, 講師 (30708079)
冨田 秀太 岡山大学, 大学病院, 准教授 (10372111)
冨樫 庸介 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (80758326)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 肺癌 / がん微小環境 / がん関連線維芽細胞 / 線溶阻害因子 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、線溶阻害因子の一つであるSERPINE1のがん微小環境における役割を解明し、SERPINE1を標的とした新しい肺がん治療の開発を目的とする。目的達成のため、細胞・マウスモデル・臨床検体を用いて、①SERPINE1が肺がん細胞株の悪性形質に及ぼす影響の解明、②がん細胞由来SERPINE1が、がん微小環境を構成する細胞群(CAF、血管内皮細胞、免疫細胞)に及ぼす影響の解析を行い、③SERPINE1によるがん細胞の悪性化、がん微小環境を構成する細胞群の活性化に対するSERPINE1選択的阻害剤の抑制効果を検証する。
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研究実績の概要 |
がん組織にはがん細胞のほか、がん関連線維芽細胞(Cancer associated fibroblast,CAF)に代表されるがん細胞周囲間質細胞や免疫細胞などが存在しており、これらの細胞は相互作用により「がん微小環境」と呼ばれるネットワークを形成することで、がんの進展に重要な役割を果たしている。本研究は、申請者がこれまでがん微小環境の研究を進めるなかで得られた「CAFによるがん細胞のSERPINE1発現誘導」という知見を発展させ、SERPINE1が肺がんの進展に果たす機序、特にがん微小環境の形成に与える影響を明らかにすることで、肺がんに対する新しい治療戦略の創出につなげることを目的としている。 2023年度は、非小細胞肺がん細胞株と臨床検体由来のCAFを用いて、in vitro 共培養あるいは馴化培地モデルにおいて、肺がん細胞のSERPINE1発現がCAFの刺激により誘導されることを複数の細胞株を用いて再現性を確認した。さらにCAFから分泌させる代表的液性因子(TGF-β, FGF, PDGFなど)の投与によるがん細胞のSERPINE1発現の変化を評価し、TGF-βがSERPINE1発現を誘導することを明らかにした。次にSERPINE1のリコンビナント蛋白を用いて、肺がん細胞の表現型(増殖能、遊走能、上皮間葉移行状況、足場非依存性増殖能、薬物治療抵抗性)に及ぼす影響を検討し、PAI-1(SERPINE1の蛋白名)の刺激によりがん細胞の遊走能および上皮間葉移行が促進されることを明らかにした。また、SERPINE1を恒常的過剰発現させた肺がん細胞株を作成し、RNAseqを用いて網羅的遺伝子発現プロファイルを取得し、得られたデータは現在解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通り、SERPINE1が肺がん細胞株の悪性形質に及ぼす影響の解析、CAFにより誘導される肺がん細胞のSERPINE1発現変化を評価、SERPINE1発現誘導を担うCAF由来の中心的分子を探索、PAI-1リコンビナント蛋白投与が及ぼす肺がん細胞の表現型(増殖能、遊走・浸潤能、上皮間葉移行状況、足場非依存性増殖能、薬物治療抵抗性)変化の各種検証実験、SERPINE1過剰発現肺がん細胞株の作成およびRNAseqを用いて網羅的遺伝子発現プロファイルの取得など実施した。以上より研究は概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に沿って、SERPINE1過剰発現肺がん細胞株の表現型の評価、がん細胞由来SERPINE1が、がん微小環境を構成する細胞群(CAF、血管内皮細胞、免疫細胞)に及ぼす影響の各種検証実験を行う。さらに、SERPINE1による「がん細胞の悪性化、がん微小環境を構成する細胞群の活性化」に対するSERPINE1選択的阻害剤(tiplaxtinin)の抑制効果を検証し、新規治療標的としての可能性を検討する。
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