研究課題/領域番号 |
23K06630
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
本宮 綱記 金沢大学, がん進展制御研究所, 助教 (30628920)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 乳がん / がん幹細胞 / 遺伝子変異 / シングルセル解析 / がん幹細胞性 / ゲノム変異 / 1細胞解析 / 転移 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、患者由来乳癌のゲノム変異を1細胞レベルで解析し、既知の乳癌幹細胞表面マーカーの蛋白質発現解析と組み合わせることで、各変異と癌幹細胞性との相関を抜本的に明らかにする。また、癌幹細胞との相関が強く認められる遺伝子変異を人為的に細胞に導入し、特定の遺伝子変異が自己複製能や薬剤耐性、腫瘍原生能や転移能などの癌幹細胞機能に与える影響を解明する。これらの解析により、プレシジョン医療に応用可能な癌幹細胞性に関与する遺伝子変異を同定するとともに、その変異遺伝子の機能を明らかにすることで、当該遺伝子変異を標的とした乳癌幹細胞性の新規阻害法の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
乳癌細胞の遺伝子変異と癌幹細胞マーカー群の発現を1細胞レベルで解析するために、シングルセルDNA/蛋白質解析プラットフォーム「Tapestri」を用いて解析を行った。解析サンプルは、申請者の所属研究室が保有する患者由来乳がん4検体を使用し、FACSで乳がん幹細胞を純化したものを用いた。解析する遺伝子変異は、所属研究室で以前に同定したがん幹細胞群(IGF1R+またはNRP1+)および非がん幹細胞群(IGF1R-またはNRP1-)に頻発する遺伝子変異(95遺伝子)を標的とした。これらの遺伝子変異は、上記2細胞集団の変異アレル頻度を比較した際に、どちらかの集団に1.3倍以上の頻度で検出されるものを選出した。 さらに、これまでに乳癌幹細胞性との関連が強く示されている10種類の蛋白質抗原(CD44/CD24/CD133/CD70/CD49f/CD61/NRP1/Syndecan1/CCR5/THY1)選出し、をそれぞれの抗体を用いてDNA解析と蛋白質発現量(抗体結合量)の同時解析を進めた。 得られた各細胞の遺伝子変異情報と乳癌幹細胞マーカー群の発現を用いて、遺伝子変異と癌幹細胞マーカー発現量の両情報から癌細胞をクラスター化、主成分分析を行った結果、乳がん幹細胞集団の中でも、複数のがん幹細胞クラスターが存在することが示された。現在、それぞれのがん幹細胞における遺伝子変異解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度では臨床検体を用いてシングルセルDNA・蛋白質解析を行い、次世代シーケンサーによるデータ収集が完了した。その結果、乳がん幹細胞群の中にも異なる幹細胞マーカーを発現する亜集団が存在することが明らかとなった。現在この結果と遺伝子変異との統合を行っているため、申請書に記載した初年度の研究計画に沿って、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、がん幹細胞サブクラスターを優先して解析を進める。そのクラスターに特に集積する変異をキー変異候補としてリスト化し、その機能解析を行う。具体的には、当該変異を有していない患者由来乳癌細胞を使用し、候補キー変異をCRISPR/Cas9システムを用いて導入する。人為的に変異を導入した細胞を用いて、自己複製能(スフィア形成アッセイ)、抗癌剤耐性(パクリタキセル存在下での生存能)、腫瘍原生能(マウス乳腺への移植)、および転移形成能(マウス尾静脈注射による肺転移)を解析し、各種の癌幹細胞機能に影響を与えるキー変異を同定する。これにより、癌幹細胞性を規定する遺伝子変異を同定し、特定の変異により癌幹細胞の機能が制御されることを明示する。
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