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ミスマッチリペア機構欠損に依存しないマイクロサテライト不安定性誘導系の研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K06634
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分50010:腫瘍生物学関連
研究機関名古屋大学

研究代表者

鈴木 美穂  名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (80548470)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワード長鎖非翻訳RNA / がん細胞 / 複製ストレス
研究開始時の研究の概要

遺伝子変異が蓄積したがんは、ネオアンチゲンを多く発現するため免疫原性が高まり、免疫機構による攻撃にさらされやすい。実際に、DNAミスマッチ修復機構 (MMR) 欠損のがんでは高度のマイクロサテライト不安定性(MSI)が認められ、原発臓器を問わず抗PD-1抗体が奏功する。一方、免疫療法に抵抗性の腫瘍については、効果を改善する方法の開発はほとんど成功していない。本研究では、①長鎖非翻訳RNA TUG1の阻害により効率よく MSI を誘導する方法の確立 と、その分子機構を明らかにするために、②TUG1 が マイクロサテライト領域の R-loop を解消する分子メカニズムの解明を行う。

研究実績の概要

がん細胞では R-loop と呼ばれる RNA:DNA ハイブリッド構造が頻繁に形成される。また、さまざまながんで高発現を示す長鎖非翻訳RNA TUG1 は、R-loop を解消する重要な分子である。TUG1 を阻害すると、R-loop が増加し高頻度でDNA損傷を引きおこす。継続的な TUG1阻害は、DNA損傷にともなう修復エラーを起こし、ゲノム不安定性を誘導する。本研究では、TUG1 の阻害により ゲノム不安定性特にMSI を効率よく誘導する方法の確立と、その詳細な分子機構の解明を目的とする。
本年度は、TUG1 が R-loop を解消する分子メカニズムを解明するために、近年開発されたCARPID法を用いて、TUG1と相互作用するタンパク質をin vivoで架橋処理なしに同定した。2種類の膠芽腫細胞株を用いて実験を行ったところ、それぞれの細胞腫に特異的なタンパク質と、共通のタンパク質がそれぞれ同定された。この中には、これまでにTUG1と相互作用することを明らかになっているDHX9に加えて、複数の異なるRNA helicaseが含まれていた。また、興味深いことにDNA損傷修復にかかわるタンパク質も含まれていた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

LncRNA TUG1はR-loopを解消し、DNAの複製ストレスから生じるDNA損傷を防ぐために必須の機能を持つ。TUG1と結合するタンパク質をがん細胞で網羅的に同定するために、Cas13を用いた手法を確立した。これまでの技術は、化学的またはUVによるRNAとタンパク質の架橋後に、その複合体を分離する手法が用いられてきた。しかし非特異的な結合も含めて同定されてしまうことや、生理学的に重要な相互作用が架橋によってマスクされてしまうという問題があった。そこでCRISPR技術を利用して目的のRNAに結合するタンパク質を生細胞内で同定するCRISPR-assisted RNA-protein interaction detection method (CAPID)法を行った。この手法はこれまでHEK293T細胞で確立されていたが、トランスフェクション効率の低いがん細胞にもこの手法を用いることに成功し、TUG1と相互作用するタンパク質を質量分析法により同定した。2種類の膠芽腫細胞株を用いて実験を行ったところ、それぞれの細胞腫に特異的なタンパク質と、共通のタンパク質がそれぞれ同定された。この中には、これまでにTUG1と相互作用することを明らかになっているDHX9に加えて、複数の異なるRNA helicaseが含まれていた。また、興味深いことにDNA損傷修復にかかわるタンパク質も含まれていた。

今後の研究の推進方策

同定されたそれぞれのRNA helicaseについて、TUG1との細胞内局在や結合様式について解析を行う。RNA FISHとRNA helicaseの抗体を用いた免疫染色を行い、超解像顕微鏡を用いて、一分子レベルで核内の局在を調べる。またCLIP-qPCRを行い、RNA helicaseがTUG1のどの部分と結合しているかを明らかにする。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 4件)

  • [雑誌論文] Long noncoding RNA TUG1 promotes cisplatin resistance in ovarian cancer via upregulation of DNA polymerase eta2024

    • 著者名/発表者名
      Sonobe Ryosuke、Yang Peng、Suzuki Miho M.、Shinjo Keiko、Iijima Kenta、Nishiyama Nobuhiro、Miyata Kanjiro、Kataoka Kazunori、Kajiyama Hiroaki、Kondo Yutaka
    • 雑誌名

      Cancer Science

      巻: 00 号: 6 ページ: 1-14

    • DOI

      10.1111/cas.16150

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] がん細胞のDNA安定性を維持する長鎖非翻訳RNAと、それを標的とした核酸医薬の開発2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木美穂
    • 学会等名
      第97回日本薬理学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 長鎖非翻訳RNA TUG1を介したR-loop解消機構はがん細胞のゲノム安定性を維持する2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木美穂
    • 学会等名
      第48回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 複製ストレスを解消する長鎖非翻訳RNA2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木美穂
    • 学会等名
      患者由来がんモデル学会学術集会2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] ゲノム安定性を制御する長鎖非翻訳RNA2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木美穂
    • 学会等名
      第81回日本癌学会学術総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] R-loop調節における長鎖非翻訳RNAの機能2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木美穂
    • 学会等名
      第16回日本エピジェネティクス研究会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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