研究課題/領域番号 |
23K06638
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
堀口 晴紀 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特任助教 (70755454)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | がん免疫 / がん / 免疫 |
研究開始時の研究の概要 |
がん組織はがん細胞だけでなく免疫細胞や線維芽細胞などの間質細胞により構成され、がんの発生・進展の過程で複雑に変化する。このがん微小環境の多様性ががんの治療法開発を困難にしている最大の障害であり、がん微小環境の全容を理解することはがんの革新的治療法開発には必要不可欠である。近年、がん免疫療法に目覚ましい飛躍をもたらしている免疫チェックポイント阻害剤(ICI)だが、臨床効果には個人差があるだけでなく、一度効果があったにもかかわらず耐性化する耐性獲得も問題となっている。本研究課題では、がん微小環境における細胞間相互作用の変容がもたらすICI耐性獲得機構の理解に挑む。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、ICIによる時間的経過に沿ったがん微小環境の変化を解明し、がん微小環境の変容とICI耐性との連関解明を目指す。また、がん微小環境における細胞間相互作用による免疫制御メカニズムの解明を試みる。さらに、がん微小環境への介入が及ぼすICI耐性への影響を検証する。これらの課題の遂行により、がん微小環境における細胞間相互作用の変容がもたらすICI耐性獲得機構の理解に挑む。 (1)ICIによる時間的経過に沿ったがん微小環境の変化解明:マウスシンジェニックモデルの解析により、ICI投与によってCAFの性質が変化することを見出した。今後、その詳細な分子メカニズムを明らかにする。 (2)がん微小環境の変容とICI耐性との連関解明:ANGPTL2欠損マウスを用いた解析により、がん間質のANGPTL2発現の低下がICI耐性に寄与していることを見出した。メカニズムに関して、CAFから分泌されたANGPTL2が免疫細胞を活性化することを見出した。今後はANGPTL2がCAFの性質に与える影響について検証を進める。 (3)がん微小環境における細胞間相互作用による免疫制御メカニズムの解明:ANGPTL2の作用メカニズム解明に向けて、受容体の探索、下流シグナルについて解析を進める。 (4)がん微小環境への介入が及ぼすICI耐性への影響検証:ICI耐性を持つANGPTL2欠損マウスにおいて、樹状細胞ワクチンを行うことで、ICIの効果が一部改善することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)ICIによる時間的経過に沿ったがん微小環境の変化解明:マウスシンジェニックモデルの解析により、ICI投与によってCAFの性質が変化することを見出した。今後、その詳細な分子メカニズムを明らかにする。 (2)がん微小環境の変容とICI耐性との連関解明:ANGPTL2欠損マウスを用いた解析により、がん間質のANGPTL2発現の低下がICI耐性に寄与していることを見出した。メカニズムに関して、CAFから分泌されたANGPTL2が免疫細胞を活性化することを見出した。今後はANGPTL2がCAFの性質に与える影響について検証を進める。 (3)がん微小環境における細胞間相互作用による免疫制御メカニズムの解明:ANGPTL2の作用メカニズム解明に向けて、受容体の探索、下流シグナルについて解析を進める。 (4)がん微小環境への介入が及ぼすICI耐性への影響検証:ICI耐性を持つANGPTL2欠損マウスにおいて、樹状細胞ワクチンを行うことで、ICIの効果が一部改善することを見出した。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況に示したとおり、本研究課題はおおむね順調に進展している。 (1)ICIによる時間的経過に沿ったがん微小環境の変化解明については、主にin vitroの実験系により解析を進める。(2)がん微小環境の変容とICI耐性との連関解明について、ANGPTL2欠損マウスは限られた飼育数での解析を強いられことが予想される。(3)がん微小環境における細胞間相互作用による免疫制御メカニズムの解明について、既知の受容体が目的の細胞に発現していない可能性があるため、新規受容体探索など時間を必要とする解析は早期に着手しする。さらに、(1)~(3)について、主に公共データベース解析により、ヒトにおいての意義を再確認する。
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