研究課題/領域番号 |
23K06659
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
田中 正太郎 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (90380667)
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研究分担者 |
小沼 邦重 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (90597890)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | スフェロイド / ライブイメージング / 薬剤探索研究 / ハイスループットスクリーニング / 薬剤浸透評価 / オルガノイド |
研究開始時の研究の概要 |
本申請では申請者が開発したスフェロイド内部の一細胞ライブイメージング技術を発展させ、新しい細胞集塊薬剤浸透性評価モデルとして技術的確立を目指す。既にDXがスフェロイドの物質透過性を著しく低下させる現象を報告しており、これを技術開発モデルとして、浸透性の数値的評価、それを指標とした責任分子の探索、HTS装置での運用、ヒトiPS細胞より調製した肝細胞由来スフェロイドおよび患者由来がんオルガノイドでの運用を試みる。
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研究実績の概要 |
本研究では、組織モデルとして用いられるスフェロイドを薬剤浸透性の評価モデルとして運用する技術の開発を目指している。初年度の目標として計画していた①「ドキソルビシンにより誘導される物質浸透性低下の責任物質の特定」は、細胞外マトリクス(ECM)タンパク質のノックダウンがスフェロイドの形成効率を低下させることが明らかになり、有効な進捗が達成できていない。②「既存の化合物ライブラリーから阻害剤をスクリーニングする」については、大阪大学薬学研究科創薬サイエンス研究支援拠点より当初予定していたFDA承認化合物1134種を提供していただき、物質浸透性に対する作用を所属機関の共焦点顕微鏡で順次観測している。また同拠点を訪問し、ハイスループットスクリーニング(HTS)実施に必要な装置を実際に操作し、同装置を運用するために必要なサンプル側の準備課題を具体的に得た(観測ウェル内への複数スフェロイドの集約かつ分離配置、およびその状態での薬剤処理)。さらに得られたデータの解析を深層学習で進めるための準備を進めている(オープンソースのソフトウェアYOLOを利用)。③の「生体組織に近いモデルを用いた同技術の運用実験」では、ヒトiPS細胞からの肝細胞分化を試みている。さらに研究分担者の所属先である京都大学大学院医学研究科クリニカルバイオリソース研究開発講座より患者由来がんオルガノイドを提供していただくため、所属機関の倫理委員会に申請をおこなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画目標①の「ドキソルビシンにより誘導される物質浸透性低下の責任物質の特定」は、ECMタンパク質遺伝子のノックダウンが薬剤浸透性評価に適さないことが明らかになり、現在対策を検討中であるが、これまでのところ概ね順調に進められている計画目標②の「既存の化合物ライブラリーから阻害剤をスクリーニングする」および③の「生体組織に近いモデルを用いた同技術の運用実験」を主軸にしたい。特に②について化合物ライブラリーの試験結果がここまでに着実に積み上げられており、深層学習をほどこした画像解析ソフトウェアによって、未処理細胞からの変化を有効に判別できる感触を得ていることから、この技術の最適化を優先的に進めて本研究の成果としたい。
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今後の研究の推進方策 |
FDA承認化合物1134種のスフェロイドに対する作用を詳細に調べ、深層学習を施した画像解析ソフトウェアで個々を明確に判別するための観測条件の最適化を進める。この技術を元に、更に新たな化合物ライブラリーを試験し、新奇の細胞応答をもたらす化合物を得ることで、探索研究法としての有効性を実証する。合わせてiPS細胞より分化させて得た肝細胞、および患者由来がんオルガノイドにも適用できるかを検討する。また引き続きHTS装置での運用を検討していく。
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