研究課題/領域番号 |
23K06661
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 梅花女子大学 |
研究代表者 |
山崎 大輔 梅花女子大学, 食文化学部, 准教授 (50422415)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 大腸がん / 浸潤 / 細胞分化 / 浸潤・転移 |
研究開始時の研究の概要 |
腫瘍組織では、がん幹細胞が様々な方向に分化して多様ながん細胞が生まれるが、がん細胞の分化が腫瘍組織自体の増殖性や浸潤・転移性にどのような影響を与えるのかは不明である。申請者は、腸発がんモデルマウスにおいて、パネート細胞のマーカー分子リゾチームを発現するがん細胞(Lyz+細胞)が、がんの悪性化に伴い増えること、そしてその一部が筋層へと浸潤していることを見つけた。また、悪性腫瘍をオルガノイド培養すると、がん細胞が作る上皮層の基底側からLyz+細胞が逸脱することがわかった。そこで本研究ではLyz+細胞に着目し、「悪性化に伴う細胞分化の変化が、がん細胞に浸潤する能力を付与する」可能性について検討する。
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研究実績の概要 |
一般的に細胞はがん化するにつれて細胞分化の度合いが低くなり、細胞分化の度合いが低いほどがんの悪性度は高くなると考えられている。しかし、本計画ではそうした未分化ながん細胞の集団の中にわずかに含まれる分化度合いの高いがん細胞が、がんの浸潤・転移に寄与している、という仮説のもとに研究を進めている。大腸発がんモデルマウスのひとつApc遺伝子ヘテロ欠損マウスでは、同一個体の腸の中に多数の腫瘍が形成される。このマウスは6ヶ月齢を超えるとその多くが死亡するため、比較的身体の大きなICRマウスと交配させると、12ヶ月以上飼育することができる個体が現れた。それらのマウスから腸を回収し、そこにできた腫瘍を組織学的に解析すると、一部の腫瘍が悪性化し筋層へと浸潤していることがわかった。したがって、このモデルマウスにおいて同一個体の腸にできた悪性度の異なる腫瘍を比較することで、遺伝的な多様性や腸内の環境の違いを考慮することなく、大腸がんの浸潤・転移を検討できると考えられる。実際に、このモデルマウスの腸から回収した腫瘍に対して免疫染色などを用いて細胞分化を比較したところ、腫瘍細胞が上皮層内にとどまっている腫瘍では、分泌系腸上皮細胞のひとつパネート細胞のマーカー分子Lysozymeの発現はほとんど見られなかったが、筋層へと浸潤する腫瘍ではLysozymeを発現している細胞の数が多く、しかもそれらは浸潤部位に集まっていた。現在は、これらの組織から回収したLysozymeを発現する細胞のクローニングに取り組んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、Lysozyme陽性細胞をクローン化し、その性質や遺伝子の発現を解析する予定であった。しかし、Lysozyme陽性細胞は増殖性が良くないためなのか、数回継代を繰り返すと数が大きく減じてしまい、現在のところクローン化に至っていない。短期の培養の間でも、Lysozyme陽性細胞が浸潤性をもつらしいことは確認できたが、遺伝子発現解析などある程度の細胞数を要する解析はできていない。
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今後の研究の推進方策 |
Lysozyme陽性細胞を、その細胞分化を維持したまま培養することができる条件を見つけ、クローニングする。もしその作業が難航するようであれば、分泌系細胞への分化誘導に関わる転写因子の発言を人為的に変化させることで、人為的に分泌系細胞へと分化させた腫瘍細胞を作出し、その浸潤能を検討する。
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