研究課題/領域番号 |
23K06666
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
馬淵 誠士 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), 婦人科, 婦人科部長 (00452441)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | LOX-1 / 好中球 / MDSC / 子宮頸癌 / 子宮頸がん / 免疫抑制 / Delta neutrophil index |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、子宮頸癌におけるLOX-1発現とその臨床的意義、②LOX-1陽性好中球の生物学的特性(主にMDSCとの相同性)、③子宮頸癌に対するLOX-1阻害治療の有用性、④子宮頸癌患者におけるDNIとその臨床的意義(TRLとの関係を含む)、⑤DNIとLOX-1陽性好中球の関係、の5点を検討するものであり、基礎研究と臨床研究から構成される。LOX-1がMDSCのマーカーであることが示されれば、臨床の現場において、MDSC増多を伴う癌患者を同定できるだけでなく、MDSCを効率的に阻害することが可能となる。これはMDSC増加を伴う子宮頸癌に対する理想的な個別化治療であり、早期の実用化が期待される。
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研究実績の概要 |
本研究は「MDSC阻害治療の新規標的としてのLOX-1の意義と子宮頸がん治療への応用」を狙ったものであり、以下の5つのプロジェクトが計画されている。研究①:子宮頸癌におけるLOX-1発現とその臨床的意義。研究②:LOX-1陽性好中球の生物学的特性。研究③:LOX-1阻害治療の有用性。研究④:子宮頸癌患者におけるDNIとその臨床的意義。研究⑤:DNIとLOX-1陽性好中球の関係。2023年度は、研究①⑤と、②の一部についての検討を行った。 研究①では、保存された子宮頸癌検体を用いて免疫組織染色を実施し、LOX-1染色強度を臨床データと対比させた。その結果、LOX-1を強発現する症例は、低発現の症例に比して、生存期間が有意に短く、放射線感受性が低いことが明らかとなった。 研究②では、G-CSF産生子宮頸癌細胞株を移植したヌードマウス(MDSCを多量に採取できる動物モデルとして先行研究で使用)の脾臓からLOX-1陽性の好中球を抽出した後、これらの免疫抑制能を、T細胞増殖試験で評価した。結果的に、LOX-1陽性の好中球が強いT細胞抑制能力を有することが示された。2024年度にはLOX-1陽性好中球の表面マーカーを精査し(フローサイトメトリー法)、LOX-1陽性好中球とPMN-MDSCの相同性を確認する計画である。 研究⑤では、新規の子宮頸癌患者を対象に、ADVIA2120を用いて測定したDelta neutrophil index (DNI)とフローサイトメトリー法によって測定したLOX-1陽性MDSCの相関を検討したが、相関を認めなかった。DNIはMDSC増加を検知するマーカーではない可能性を示唆する結果であるが、2024年度にさらに症例数を増やして結論をえる計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述のように、本研究の5つのプロジェクトの内、三つに取りかかり、二つをほぼ終えている。残り二年で3つのプロジェクトを行うのは十分に実現可能である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は「MDSC阻害治療の新規標的としてのLOX-1の意義と子宮頸がん治療への応用」を狙ったものであり、以下の5つのプロジェクトが計画されている。研究①:子宮頸癌におけるLOX-1発現とその臨床的意義。研究②:LOX-1陽性好中球の生物学的特性。研究③:LOX-1阻害治療の有用性。研究④:子宮頸癌患者におけるDNIとその臨床的意義。研究⑤:DNIとLOX-1陽性好中球の関係。2024年度は、2023年度から持ち越しとなった研究②に加え、研究③⑤を行う計画である。 研究②では、前年度から持ち越したプロジェクトとして、LOX-1陽性好中球の表面マーカーを精査し(フローサイトメトリー法)、LOX-1陽性好中球とPMN-MDSCの相同性を確認する。また、ソーティングしたLOX-1陽性MDSCを用い、まず、補体C5aの受容体(C5aR)の発現をReal-time RT-PCRで検討する。次に、C5a の刺激によってLOX-1陽性MDSCの遊走能が亢進するかを検証する。 研究③ではマウスを用いた治療実験を行う。まず、G-CSF産生子宮頸癌モデルマウスを用い、抗LOX-1中和抗体を用いたLOX-1阻害治療の有効性と毒性を検討する。次に、G-CSF産生子宮体癌および卵巣癌モデルマウスを用いて同様の実験を行い、LOX-1阻害が臓器横断的な治療になり得ることも証明する。研究②においてC5a/C5aRが治療標的になることが示されれば、選択的C5a受容体拮抗薬であるアバコパンの有効性を検討する。 研究⑤では、新規の子宮頸癌患者を対象に、DNI(自動家旧カウンターADVIA2120を用いる)とLOX-1陽性MDSC(フローサイトメトリー法)を測定しそれらの相関を検討する。DNIがMDSC増加を検知するマーカーであることが示されれば、MDSC増多症例を容易にスクリーニングすることが可能となる。
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